J2大分、6季ぶりJ1復帰 片野坂マジック!J3から3年!!

西日本スポーツ

J1昇格を決め胴上げされる大分・片野坂監督 拡大

J1昇格を決め胴上げされる大分・片野坂監督

昇格をサポーターに報告する片野坂監督(右)

 ◆明治安田生命J2:第42節 山形1-1大分(17日・NDスタ)

 J3から3年、スピードJ1! J2大分トリニータが最終節で山形と1-1で引き分け、勝ち点76の2位で6季ぶり3度目のJ1へ自動昇格を果たした。J3に降格した2016年に就任した片野坂知宏監督(47)が3年かけて攻撃サッカーをつくり上げ、リーグトップの76得点をマーク。同じ勝ち点で3チームが並ぶ大混戦を得失点差で制した。優勝は同77の松本。J1昇格資格のない町田が4位で自動昇格圏に入らなかったため、J1の16位が参入プレーオフに回ることが決まり、17位以下が確定していた長崎のJ2降格も決定した。

■敵地山形戦ドロー

 終了の笛が響いても、大分の“ロスタイム”が続いた。後半ロスタイムに悪夢の同点劇。そわそわしながら整列を終え、ベンチ前に集まった。試合終了から約3分後。スマートフォンで他チームの結果を知ったスタンドの大分サポーターが沸いた。J1だ。イレブンは抱き合い、サポーターの元に駆け寄った。「勝って決めたかったけど、昇格できてうれしい」。就任3年目の片野坂知宏監督の頬を涙が伝った。

 J2リーグ最多得点の攻撃陣が、史上まれに見る大混戦でJ1切符を手繰り寄せた。勝ち点76で3チームが並ぶ中、得失点差が明暗を分けた。藤本、三平、馬場、後藤が2桁得点をマーク。この「2桁カルテット」を中心に76得点。片野坂監督は「得点を取らないと、勝ち点3は取れない」と攻撃的な姿勢を貫いた。

 片野坂監督は広島で森保一氏(現日本代表監督)、G大阪では西野朗氏(前日本代表監督)らの下でそれぞれコーチを務め、J1通算3度の優勝を経験した。古巣の大分で、念願だった指揮官に就任したのは2016年。J3から1年でJ2へ復帰させるという重圧と闘いながら、チームとともに自身も成長した。

■信念貫き古巣再建

 「自分がやっているサッカーが正しくて、大分にとって良い方向へ進むのか。自問自答の繰り返しだった。勇気と選手への信頼が必要だった」。ぶれずに貫いたのは、広島コーチ時代の10~11年にペトロビッチ監督(現J1札幌監督)から学んだ、人もボールも動くパスサッカー。スタメンを入れ替えても、どこからでも誰からでも点を取ることができる戦術を3年がかりで浸透させ「大分カルテット」を生んだ。

 大分は09年、選手を大量補強した結果として約12億円の債務超過が判明、経営危機に陥った。この教訓からクラブは限られた予算の中、選手を育てながら勝つ路線を徹底。趣旨に賛同した片野坂監督も「指導者が熱を持ち、選手のことを思って伝えないと、選手の良いパフォーマンスにはつながらない」。時には選手にいじられるほど気兼ねなく話し合える関係を構築した。

 ユース出身の後藤が3年連続で2桁得点をマーク。東京五輪世代で今季後半からスタメンに定着した岩田は「片野坂さんは、いつでもどこでも僕らを見てくれている。気を抜かずに練習をする空気が高まり、結果につながった」と感謝する。この日は岩田のアシストから星が先制点を決めた。

 来季の続投が決定的な片野坂監督は「このトリニータのサッカーがJ1で通用するのかというチャレンジは非常に興味がある」と前を向いた。九州勢として初のタイトルを獲得した08年のヤマザキナビスコ・カップ(現YBCルヴァン・カップ)優勝から10年。新生トリニータがかつての栄華を取り戻す。 (小畑大悟)

=2018/11/18付 西日本スポーツ=

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