サッカー代表戦「渋滞トラブル」はなぜ起きたか 来年ラグビーW杯への影響は?

西日本スポーツ

 大分銀行ドーム(大分市)で16日に行われたサッカー日本代表のベネズエラ戦で、両チームの選手らを乗せたバスが渋滞に巻き込まれて到着時刻が大幅に遅れる事態が発生した。チケットが完売しながら前半は空席が目立つなど、観客にも影響があったトラブルの原因は何だったのか。来年に同ドームでも開かれるラグビーワールドカップ(W杯)では大丈夫なのか。検証した。

 日本サッカー協会などによると、16日午後6時ごろ、大分銀行ドーム内の大会本部に両チームのバスが渋滞に巻き込まれていると連絡があった。東九州道の大分インターチェンジ(IC)-大分米良IC間で、バスの中にいた日本代表の槙野智章(浦和)や吉田麻也(サウサンプトン)がツイッターで「右側車線を空けて」と協力を呼び掛ける異例の事態となった。

 同ドーム内の本部には大分県警署員もいたため、急きょパトカーでの先導を指示。予定より50分遅れの同6時50分ごろに到着した。同7時半の開始には間に合ったが、選手たちはピッチ上で十分にウオーミングアップをする時間がなかった。

 観客の多くも渋滞で遅れ、前半は会場に空席が目立った今回のトラブル。試合を主管した大分県サッカー協会は19日、公式サイトで謝罪文を掲載した。「通常のラッシュ時の自然渋滞に加え、降雨による交通量の増加、(大分米良ICの)料金所近くの複数の事故などによるさらなる渋滞発生」と説明し、前回代表戦を行った3年前とは異なる、不測の事態が原因と位置づけた。

 一方で大分県警交通規制課は「事故は軽微で、渋滞の影響とは考えにくい」と分析。代わりに指摘したのが、同ドームがある大分スポーツ公園に3500台設けた駐車場だ。有料制で前売り券を販売していたが、公式サイトでは当日券の販売も告知。同課は「(駐車場の)当日券を求める車も駐車場に入り、スムーズに出入りできなくなった。次第に列は高速道路まで伸び、大分ICまで10キロほどの渋滞が起きた」と説明した。

 今回のトラブルを、大分銀行ドームでも行われる来年のラグビーW杯に向けた準備を進める関係者たちはどう捉えたか。大分県のラグビーW杯推進課の担当者は「あれだけ多くの台数だったので、誘導をうまくしないと渋滞が発生することは予測できた。W杯では自家用車での来場を規制するため、同じことは起こらない」と自信を持つ。

 同ドームでラグビーの日本-イタリア戦を行った6月9日、大会組織委員会や大分県などで観客輸送のシミュレーションを行った。会場から離れた位置に駐車場を設け、そこからシャトルバスで移動する「パーク&ライド」を実施。大分駅などから発着したシャトルバスも含めバス約300台を専用レーンを設けて2万6000人の観客を運んだ結果、大きな渋滞は起きなかったという。

 「事前に自家用車での送迎も自粛を呼びかけ、会場付近の交通量は通常よりも約20%減った。今回は告知も足りなかったのでは」と指摘する。

 ただし、完璧に準備が進んでいるわけではない。サッカーのW杯では毎大会で選手が乗るバスを現地警察が先導している。ラグビーのW杯組織委員会によると「各開催会場の警察と協議している段階。どうなるか決まっていない」と流動的で今回のように渋滞に巻き込まれる可能性もある。W杯組織委員会は「今回の事例を大分県と共有し、計画を見直しながら、W杯では起きないように万全の態勢をつくっていく」と気を引き締めた。(末継智章)

■福岡、熊本の関係者も警戒

 九州で大分と同じくラグビーW杯の試合が行われる福岡と熊本の関係者も輸送トラブルを警戒する。W杯組織委員会福岡地域支部は「交通計画を検討している段階」と現状を説明する。

 同支部などは、W杯会場のレベルファイブスタジアムで行われた昨年10月の日本-世界選抜戦などで本番を想定し、シャトルバスを運行するなどした。しかし代表戦の入場者数は約1万人で、約2万人収容の会場が満員になった場合のシミュレーションはできていない。同支部の担当者は「(地下鉄の)福岡空港駅から徒歩で30分。利用者を増やすため、沿道で催しをするなど工夫が必要」と地下鉄の利用促進も訴えていく方針だ。

 W杯組織委員会熊本地域支部は、大分と同じく「パーク&ライド方式」を採用。会場から車で15分ほどの場所に5カ所、計8000台分の駐車場を設け、シャトルバスで輸送する予定だ。「事故を想定した迂回(うかい)路も想定している。人の動きがどうなるかを推測しながら計画を立てていく」と大分のサッカー代表戦の事例を教訓にする考えだ。

=2018/11/22 西日本スポーツ=

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