J3鹿児島、設立5年目で悲願の初J2 「専用練習場」整備急務

西日本スポーツ

 歓喜のJ2初昇格! J3参入3年目の鹿児島ユナイテッドFCがホーム最終戦で沼津を1-0で破り、昇格を決めた。昨季加入した中原秀人(28)が決勝点。J3は琉球が1位で初昇格を決めており、これで九州・沖縄の全8クラブがJ2以上を経験することになる。J2ライセンスを持たない沼津が2位に入れなかったことで、J2を21位で終えた熊本の降格が確定。J3は12月2日に最終節を迎える。

 待ちわびた日がようやく訪れた。勝利をつかんだ瞬間、クラブ最多を記録した1万916人の観客が沸いた。「どんな時も駆けつけてくれたサポーターの皆さまのおかげ。やっと監督としてもスタートを切ったかな」。就任2年目の三浦泰年監督は安堵(あんど)の表情で昇格を味わった。

 0-0で折り返した後半、主導権が握れない嫌なムードを一蹴したのは中原秀の一撃だった。同29分、右サイドから駆け上がった野嶽のパスに左サイドハーフの中原秀が反応。左足を合わせてネットを揺らした。今季4得点目のゴールで昇格に導いた中原秀は「(野嶽)惇也が出してくれるのを信じて走った」と試合後はこみ上げるものを抑えるのに必死だった。

 中原秀は鹿児島県阿久根市出身でJ2福岡時代の2015年にJ1昇格プレーオフ決勝を経験。引き分けでも昇格が決まる状況は当時と似ており、「福岡の時の経験が大きい。落ち着いて試合に入れた」とうなずいた。

 主将の赤尾も鹿児島出身。ヴォルカ鹿児島で九州リーグを経験し、FC鹿児島と統合してできたクラブの歴史を知る。「試合に出られないメンバーやコーチ、スタッフなど陰の人たちの支えで目標をつかみ取ることができた」。試合後のインタビューでは声を詰まらせる場面もあった。

 16、17年と2年連続でJ3得点王に輝いた藤本がJ2大分に完全移籍。一人に依存しない多くの得点パターンをつくってきた。「うまく各選手が点を取った」。三浦監督が言うように、右サイドから左へとダイナミックにパスをつないだゴールはその象徴だった。

 「いつまでも喜んでいるわけにはいかない。全ての選手が次のステージで成長するために努力してもらいたい」。指揮官は気を引き締めた。地元出身者だけではない。鹿児島を愛する“薩摩隼人(はやと)”たちが一丸でつかんだ悲願。設立5年目でJ2をつかんだ鹿児島からの“維新”は続く。 (広田亜貴子)

■「専用練習場」の整備急務

 J2昇格を決めた鹿児島は2016年からJ3に参入し、17年にJ2ライセンスが交付されたが、専用の練習場やクラブハウスはなく、課題も多い。

 三浦監督は会見で練習施設の整備に触れ、「(施設がなく)2年間ストレスを持ち続けながら選手とトレーニングしている。この改善はJ2クラブになるに当たって非常に大事なこと」と協調。練習場が人工芝やフットサルコートになることもあり、「全力で集中して練習してほしい自分にとっては、トレーニング場がないのは非常に難しいマネジメントの一つ」と指摘した。徳重剛社長は試合後、「現実的に言うと、あと2億円ぐらい来年上乗せしないと…」と、運営費が足りないことを笑いを交えながらサポーターに訴えた。

 元日本代表の遠藤、ワールドカップロシア大会で活躍した大迫ら多くの好選手を輩出した“サッカーどころ”からの挑戦は、これからが本番になりそうだ。

◆鹿児島ユナイテッドFC

 2013年に「ヴォルカ鹿児島」と「FC KAGOSHIMA」が統合し、14年に設立。同年からJFLに参戦し、16年からJ3に参戦。クラブスローガンは「鹿児島をもっとひとつに。」。本土、離島など鹿児島愛をひとつにする思いが込められている。J3では、16年5位、17年4位の成績を残した。

=2018/11/26付 西日本スポーツ=

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