「甲斐キャノン」の評価の難しさ 日本シリーズMVP男が保留…査定は妥当か

西日本スポーツ

 ソフトバンクの甲斐拓也捕手(26)が21日、ヤフオクドーム内で契約更改交渉に臨み、年俸4000万円からのアップ提示を保留した。(金額は推定)

 提示は5500万円前後とみられ、甲斐は希望額との開きについて「多少の差はあった」と漏らした。一方で「すごく評価し、いい言葉もたくさんもらってうれしかった」とも。「もう一回、整理したかった。今日は決められなかった」と話した。

 今季は扇の要として立場を確立し、133試合出場、7本塁打、37打点が自己最多。12球団トップの盗塁阻止率4割4分7厘で、2年連続のゴールデングラブ賞を受賞した。

 日本シリーズ新記録6連続盗塁阻止で「甲斐キャノン」の通称を一躍、全国区にし、同シリーズMVPに輝いたのも記憶に新しい。三笠球団統括本部長も「日本シリーズの活躍は本当に素晴らしかった。プラス評価の材料」とうなずく。だが、初回交渉で両者の隔たりは解消されなかった。

 前年の出場13試合から、一気に103試合へと出番を増やした昨季は、オフに年俸900万円から4000万円までの昇給を勝ち取った。今季の貢献度が昨季を上回るのは当然だが“前年との差”は昨季が大きい。またチーム順位は昨季が優勝で、今季は2位。これも、もう一声となりにくい要因には違いない。

 シーズン打率2割1分3厘もアピール材料にしづらかった。甲斐自身も「納得できる数字ではない。バッティング面でも全く、ですし。そういう低い成績でも評価していただいているほう。そこは理解はしてます」と言う。

 となると、争点は守備の評価だ。三笠球団統括本部長は「守備的ポジションの選手の評価って、いろいろ難しいところもあるという話もした」と明かす。それは「守備は共同作業だから、一人一人に分割して評価を確立するのが難しい。野球というゲームの側面」だからだ。

 端的に、盗塁阻止率を例に「一般論として、彼の肩がもっと強ければもっと上がるかと言えば、必ずしもそうではない」。甲斐が大いに刺したのは評価しつつ、送球の速さやコントロールに、投手のクイックモーションが合わさった結果という側面が常にある。この点で安打や奪三振のように、単純な評価がされにくい。

 セイバーメトリクスの新しい指標には、守備力を測るものもあるが「シフトやフォーメーションで数字が変わる。それは能力か。本人が決められないシフトで上がった数字をどう評価するか」(同本部長)という課題が残る。計算式もまちまちで「まだまだ万人が見て安定した指標かというと難しい」のが現状だ。

 捕手は他のポジションに比べ、起用法が独特でもある。近年は先発投手との相性などから、複数捕手の併用が主流。途中交代が珍しくなく、戦術的な理由で出番が減る部分もある。甲斐も例に漏れず、先発は111試合。試合終盤はベテラン高谷にマスクを譲ることが多かった。結果、規定打席には到達していない。

 ただ、この点は球団も織り込み済みで、同本部長は「1人の捕手で全試合やってるチームはそんなにない」と認める。「従来の基準だと規定打席に到達すれば『フルに出たね』って話だけど、レギュラー級だとする評価が他の野手と同じ基準でいいのか。いろいろ議論がある」。そして、この点は考慮していると言う。

 捕手の数字に現れない部分の貢献も、査定担当が加味していて「プラスアルファとして、どうしてあげるかは甲斐君に限らず、捕手の評価として考えている」と言う。「論点がすごく残っているというより、あと1時間使って話をして決めましょうかと。そういうレベルだとこちらは思っている」。その口ぶりは、現時点では精いっぱいの査定というニュアンス含みだ。

 甲斐は今年3月に結婚し、10月に第1子長男が誕生した。家庭を持って初めての契約交渉。軽々な判断はできない思いもあっただろう。第2回交渉は週明けの予定。球団も「来年、気持ちよくやってもらうために契約する」(同本部長)との思いは持っている。

=2018/12/22 西日本スポーツ=

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