「ナメていた」 内川聖一の苦悩と、見つけた原因

西日本スポーツ

 ソフトバンクの内川聖一内野手(36)が27日、ヤフオクドーム内で契約更改交渉に臨み、2年契約最終年の来季を現状維持、年俸4億円プラス出来高でサインした。(金額は推定)

 右膝痛もあって今季出場は71試合。何より打率2割4分2厘という不本意な成績も、5月の通算2000安打達成の余韻を奪い去った。クライマックスシリーズ中に戦列復帰後、ベンチスタートの試合もあれば、送りバントを命じられた試合もあった。

 契約更改後の会見で、今季印象に残っているのは「開幕戦の3打席ですかね」と明かし、当時オリックスの西との対戦を振り返った。

 「1打席目はライトにいい当たりを打って、飛び付いて捕られた。2打席目がいい当たりでセンターライナー。ボールに逆らわず打って成績が出ないなら、強引に結果を出してやろうと、3打席目で外のスライダーを打ってショートゴロ。あの3打席で、自分の中で、全ておかしくなったなという感じ。あとは最終打席ですかね。今年は4番としてやるんだ、という思いの中での空振り三振。開幕戦で全て苦しくなってしまったというか。去年までのものを払しょくしてやろうという思いが違う方向に出たかな」

 この話は近年、内川が抱えた苦悩の縮図ともいえる。「年齢を重ねると経験、感覚とか、いろんなものが増える反面、どれを選択していいか分からなくなるところもあった」。今季にあてはめて「結局、何がどうなっていて、どれが原因か、探しきれないままシーズンを過ごしてしまった」と自省した。

 そこで、このオフの初め、またV旅行後に単独でハワイに残って自主トレを続けていた間に「内川聖一がどういうバッティングをしたいのか、しっかり自分の映像を見直して、何が原因だったのかを考えた」という。

 意外にも、そうやって映像を見返すのは「初めてじゃないですか」と明かす。

 「去年までは、見つめる範囲が少なくても、いつか戻ってくるだろうっていう感覚で。ちょっと自分をナメていたというか。ひと冬しっかりやれば(感覚が)戻ってくるでしょ、って気持ちだったのが、いや、もしかしたらそうじゃないのかな、っていうところ」

 横、前、後ろ。さまざまな視点からの映像で見返した。テレビ中継の映像も。「一番、楽に打っているのはやっぱり2008年じゃないですかね。欲もなかったですし」。右打者歴代最高の打率3割7分8厘で首位打者に輝いた横浜(現DeNA)時代の姿を見るにつけ「もう一回、何かこう、新しい姿で、気持ちよくバッティングしたい」との思いは強くなった。

 15年に就任した工藤監督のもと、4番に座った。以来、自身に強いてきた変化に、苦闘の要因を見た。

 「打順とか役割とか、自分で打席に付加価値を付けようとしすぎたなと。4番だからこうしなきゃとか。それをやりだして、無意識にやってきたことさえおかしくなってしまった」

 確実性の男が長打も求めた。「ヒットの延長がホームランだと思ってずっとやってきたのを、極端に言えば、ホームランの打ち損じがヒットだっていうふうに変えたかった」。4番像もあった。「ホームランってやっぱり野球の華。やっぱり4番ってね、そういうものを求めたくなるじゃないですか。かっこいいし」。それが積もり積もって、打撃の深部にまで影響した。

 そのチャレンジを否定はしない。「失敗だとも思ってない。成績が出なかったっていう意味で反省して。それを経験したからこその、来年のバッティングがつくれればいいなと」。映像を通じ、不調の原因には行き着いたという。「ああ、なるほど、そういう動きになるよねと、納得できるところがあった。ちょっとスッキリしてバッティング(練習)はさせてもらっていました」

 打順へのこだわりは「あんまり、っていうか、今は全くない」と言い切った。一方で「ファンの方がいつ来ても『内川』っていう名前がスタメンにあるようにしたい」と、老け込むつもりも毛頭ない。「10割打ちたいです。そういう気持ちの積み重ねで、どれぐらいの数字が残るか」。いくぶんか吹っ切れた顔で、そう掲げた。

=2018/12/28 西日本スポーツ=

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