決断は2日前…長崎の“スーパーJK”広中が高校最後の都大路で得たもの

西日本スポーツ

 ◆全国都道府県対抗女子駅伝(13日=京都・西京極陸上競技場発着/9区間42・195キロ)

 1区を走った長崎のスーパーJK(女子高生)こと広中璃梨佳(長崎商高3年)が19分24秒で4年連続の区間賞(2016年は3区、17、18年は4区)を獲得した。

 4年連続区間賞は1988~91年の石橋美穂(京都、すべて7区)、06~09年の小林祐梨子(兵庫、すべて2区)に次ぎ史上3人目。ベストの状態ではなく当初は1区での出場に難色を示したものの、長崎の“元祖”スーパーJKの言葉が“2代目”を突き動かした。

 広中は自身初出場した昨年12月23日の全国高校駅伝1区で区間賞をマーク。「中20日」という短期間で二つの全国大会を走るのは初めてで、疲れが残っていた。今年初め、藤永佳子監督(諫早高教)が1区を言い渡した際は「首を斜めに振った」(藤永監督)と渋り、後半区間の起用を求めたという。

 それでも藤永監督は広中の1区起用にこだわった。頼りにしていた実業団勢にコンディション不良による欠場が相次いだのが大きな理由だが、それだけではない。監督自身、諫早高3年だった00年に1区で出場し、前年末の全国高校駅伝に続いて区間賞を獲得。卒業後に資生堂へ入社し、09年の世界選手権(ベルリン)マラソンに出場するなど活躍した体験から、広中に責任感を求めたという。

 「広中本人が陸上をやめたり、大学に進学したりするのなら、違う区間にした。でも彼女は実業団に進むので、会社を背負って走る責任が出てくる。心を強くしないと社会では戦えない。世界で活躍したいのであれば、ここをステップにしてほしかった」

 迷った広中も11日に決断すると、監督が「目の色が変わった」と驚くほど一変。残り1キロを切ってから17年世界選手権5000メートル代表の高知・鍋島莉奈(日本郵政グループ)が飛び出したが、「自分の走りをしたら結果は後からついてくる。自分を信じた」と食らいつき、最後に振り切った。「(1区起用に)不安の方が大きかったけど、チームに貢献したかった。藤永先生から『冷静に』と言っていただいたので、冷静に対応できた」と感謝した。

 中学時代は無名のランナーだった広中は、卒業前の桜が原中(大村市)3年時に初出場したこの大会で3区(3キロ)区間賞デビューを果たして全国で戦える自信をつけた。高校1年時は4区(4キロ)で11人抜き、2年時の昨年は同じ区間で7人抜きと驚異の走りで脚光を浴びた。都大路では全国高校駅伝を含め5戦5勝。「自分の走りで、こういう結果がついてきたのはうれしい。気持ちの面でも強くなったし、この大会で成長できた」と感謝する。

 卒業後は鍋島や、リオデジャネイロ五輪5000メートル代表で今大会で優勝した愛知のアンカーを務めた鈴木亜由子らが所属する日本郵政グループに入社する予定。「鍋島さんは自分の中ではまだまだ(実力的に)上の先輩。今日は胸を借りた」と謙遜する一方で「勝ったことはこれからの自信にし、また新たな気持ちで頑張りたい」と弾みをつけた格好だ。

 日本郵政グループでは鍋島がトラック、鈴木がマラソンでの東京五輪代表入りを有力視されている。広中はまだ東京五輪を見据えていないが「将来的にはトラックで。少しずつ頑張りたい」と夢舞台を追う。同社の高橋昌彦監督も「鍋島を追い掛ければ代表に近づく。これからの日本を背負って立つ選手になってほしい」と将来を期待する。今後はロードではなくトラックの上でも、陸上ファンを沸かせていくことになりそうだ。(末継智章)

=2019/01/14 西日本スポーツ=

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