16年「九州四天王」最後の逸材 太田龍、今秋ドラフトの主役に!

西日本スポーツ

 3年前のドラフト戦線で脚光を浴びた逸材に再びスポットライトが当たる。JR東日本(東京都)の最速153キロ右腕、太田龍投手(20)は鹿児島・れいめい高時代に「九州四天王」の一角として注目されながら、唯一プロ志望届を出さず、社会人野球の道へ進んだ。JR東日本の先輩であり、福岡ソフトバンクに今年ドラフト4位で入団した板東湧梧投手(23)譲りのカーブで投球の幅を広げるなどスケールアップ。堂々の最上位候補としてドラフト解禁年の3年目を迎えた。 (西口憲一)

 感覚を研ぎ澄ませるため、暇を見つけては指先で器用にボールをはじく。太田の日課だ。「板東さんにアドバイスをいただき、親指に力を入れるようになってから、うまく抜けるようになった」。明かしたのはカーブの握り。教わるまでは中指への意識が強く、制球もままならなかった。当然、試合で使うのにためらいがあった。「今年はチェンジアップではなく、カーブをカウント球として使っていきたい」。口調に手応えがにじんだ。

 太田の変化球は計4種類。130キロ台後半のスプリットに、130キロ前後のチェンジアップ、125キロ前後のスライダー、115キロ前後のカーブを持っている。最速153キロの真っすぐとカーブとの緩急差は約40キロ。縦割れで打者の目線とタイミングをずらせば、名前の「龍」から高校時代に「ドラゴンボール」と呼ばれた快速球がさらに生きるのは自明の理だ。

 高校3年時は都城(宮崎)の山本由伸(オリックス)、九州産業(福岡)の梅野雄吾(ヤクルト)、福岡大大濠の浜地真澄(阪神)とともにドラフト候補に挙がった。最後の夏の大会で右肘を痛めたこともあり、社会人での成長を期してプロ志望届の提出を見送った。

 「あの3人をライバルとして見ることはない。自分は自分だから。今年は都市対抗で優勝することが一番の目標。チームが勝つために何ができるのか、それだけを考えている」。4強入りした昨年は本大会で3試合に登板し、11回1/3を無失点。新人賞に該当する「若獅子賞」に輝いた。今年は板東から受け継いだエースの自覚も十分。「プロに行く方は全体練習以外に一人で黙々と汗を流していた印象が強い。板東さんや(オリックスの)田嶋(大樹)さんもそうだった」。インナーマッスルを鍛え、ストレッチを欠かさないのも、そんな先輩たちの背中を目に焼き付けてきたからだ。

 「強く、たくましく育ってほしい」との両親の願いが込められた「龍」の1文字をグラブに縫い付けている。目を引く体格は、マウンドに立つと一層際立つ。年明けの始動から、既にプロ全12球団のスカウトが千葉県柏市にあるグラウンドを訪れ、野球部に新年のあいさつを済ませた。争奪戦のゴングは鳴っている。「一年間を通してけがをせず、もっとレベルを上げていきたい」。実現すれば“運命の日”の主役は約束されたも同然だ。

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■3人は即プロ入り

 高校から即プロ入りした3人はそれぞれ存在感を発揮している。昨季54試合に登板した山本は4勝2敗1セーブの防御率2・89。32ホールドを記録するなどセットアッパーとして活躍し、今季は先発に挑戦する。昨季29試合に登板した梅野は3勝2敗の防御率7・09ながら、後半戦は勝ちパターンの中継ぎを任され、ヤクルトの2位躍進に貢献した。浜地は過去2年で1軍登板こそないものの、矢野新監督の期待も高く、初めて1軍キャンプに抜てきされた。

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■JR東日本からは8年連続プロ入り

 社会人野球の強豪として知られるJR東日本は8年連続でNPBに選手を送り込んでいる。2011年の十亀剣(西武)から18年の板東までドラフト会議で指名された選手は実に16人。投手育成にも定評がある堀井哲也監督の指導の下、十亀、吉田一将(オリックス)、田嶋の“ドラ1投手”を誕生させている。

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