“元祖山の神”今井正人の挑戦 34歳が描く「放牧→MGC→東京五輪」

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MGC出場権獲得を狙うトヨタ自動車九州の今井正人 拡大

MGC出場権獲得を狙うトヨタ自動車九州の今井正人

MGC出場権獲得を狙うトヨタ自動車九州の今井正人 箱根駅伝の5区で3年連続区間賞を獲得した順大時代の今井

 9月に行われる2020年東京五輪マラソン代表選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権を巡る戦いがヤマ場を迎えた。3月3日には男子のMGCシリーズの一つ、東京マラソンがあり、34歳の今井正人(トヨタ自動車九州)が一般参加でエントリー。「元祖山の神」が、期待されながらあと一歩届かなかった夢舞台へ望みをつなげる。

 4月で35歳になるベテランは挑戦心にあふれている。「スタートラインに立ったら年齢は関係ない。今井は怖いと思わせたい」。27歳で日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)も走る今大会。今井は昨年のびわ湖を2時間11分38秒で走っており、今回2時間10分22秒以内で走れば「2大会の平均タイムが2時間11分以内」というMGC出場条件を満たすが、あくまで勝負にこだわるつもりだ。

 昨年4月から半年間、「放牧」と称し、チームから離れて軽めの練習にとどめた。15年の東京で自己ベストを出して同年の世界選手権代表に選ばれながら、髄膜炎を発症して辞退。16年には右大腿(だいたい)骨を疲労骨折し、その後も消化不良のレースが続いたため、思い切ってリフレッシュした。

 「今までならトラックの記録会に出たり、走り込んだりした時期にゆとりを持った。めりはりを学んだ」。週末に家族と公園で遊ぶなど陸上のことを考えない時間も設けると、マンネリ化していた走ることへの楽しさを思い出した。

 年を重ね、疲労回復が遅くなった自覚はある。それでも衰えとは捉えていない。「以前はバンバン走り、常に良い状態にしようとしていた。今はレース当日に走れるよう、意識的に調子を上げたり落としたりしている」。レースまでに40キロ走を5、6本行う練習量は変わらないが、ペースを上げ下げすることで調整。昨年12月の甲佐10マイルでは前日まで体の重さを感じていたが、46分22秒の自己ベストを出して手応えを得た。

 五輪や世界選手権に縁がなく、自国開催の五輪出場は悲願だ。ただ、「今年、来年で終わる競技人生ではない」と20年を区切りとは考えていない。「変化し、成長し、進化しながら東京五輪に向けて気持ちを上げていく」とポジティブに前を向く。(末継智章)

 ◆今井正人(いまい・まさと)1984年4月2日生まれ。福島県小高町(現南相馬市)出身。福島・原町高で本格的に陸上競技を始める。順大では箱根駅伝の山上りの5区で2年時から3年連続で区間新記録を樹立。「山の神」と称された。2007年にトヨタ自動車九州に入社。マラソンの自己ベストは2時間7分39秒。169センチ、56キロ。

 【MGC出場権を得るには】男子のMGC出場権は5大会ある「MGCシリーズ」で指定のタイムと順位をクリアするのが条件の一つ。残りは3月3日の東京と同10日のびわ湖毎日で、2時間11分以内で日本人1~3位に入るか、2時間10分以内で日本人6位以内に入れば出場権を獲得する。既に出場権を得ている選手は日本人順位に数えない。

 「ワイルドカード」での出場権は17年8月から今年4月末までに国際陸連が世界記録を公認するレースに出て(1)2時間8分30秒以内で走る(2)上位2大会の平均タイムが2時間11分以内になる-のいずれかを達成するのが条件。今井は2時間10分22秒以内で走れば(2)を満たす。

=2019/02/27 西日本スポーツ=