ソフトB栗原 延長10回代打V打 楽天と再び同率首位

西日本スポーツ

延長10回に決勝打を放ち、ナインから手荒い祝福を受ける代打栗原(中央) 拡大

延長10回に決勝打を放ち、ナインから手荒い祝福を受ける代打栗原(中央)

延長10回2死一、三塁、中前適時打を放つ栗原

 ◆楽天0-1ソフトバンク(13日・楽天生命パーク宮城)

 楽天との直接対決を制した福岡ソフトバンクがまたも1日で同率首位に返り咲いた。0-0で今季早くも6度目の延長に突入した10回、代打起用された昨年まで通算1安打0打点の栗原陵矢捕手(22)が決勝打。第3捕手の立場で与えられる打席が限られる中、入団時から期待されていた打力でアピールした。柳田不在で打線の得点力不足は解消されないままだが、新たなヒーローがチームを活気づけた。

■22歳の第3捕手

 伏兵のメモリアル打が同率ながらチームを再び首位に押し上げた。互いに無得点のまま迎えた延長10回2死一、三塁。高田の代打で起用された高卒5年目の栗原がハーマンの初球を迷いなく振り抜いた。低めの直球をすくい上げた打球は中前へ。通算2度目のHマークをともし、初打点も伴う決勝点となった。

 「初球からいくつもりで何でも打ってやろうと思っていた。点を取りたいと必死だった」。大騒ぎのベンチと対照的に、一塁ベース上では控えめに右手でガッツポーズ。初めてヒーローインタビューに呼ばれた22歳は、普段の明るいキャラクターとは異なり緊張した様子で敵地仙台の空に声を響かせた。

 試合前練習中にうれしい後押しがあった。自身のフリー打撃時に流れてきたのはDA PUMPの昨年のヒット曲「U.S.A.」の替え歌。宮城県北西部にある栗原市のPRソングとして制作された「カモンベイベー栗原」だった。

 楽天はこの日のソフトバンク戦を「がんばろう東北デー」として開催。「カモンベイベー栗原」が流れたのは偶然であり「ソフトバンク栗原」のためではなかった。それでもなぜかチームメートに向かって一礼を繰り返す栗原の姿にナインは爆笑。「自分のためだと思った。おかげで打てました」。インタビューでは封印したが、これが栗原の本当の姿でもある。

 福井・春江工高(現坂井高)からドラフト2位で2015年入団。3年目に初出場した後も打席はなかなか与えられなかった。「ここはすごいチーム。勝っているとうれしいけど、悔しい」。複雑な思いを抱く中で、昨オフは和田の自主トレに参加して投手目線のヒントを得た。さらに和田とメニューは違うが、同じ長崎で自主トレを行っていた中村晃から具体的な技術の助言も受けた。打撃練習の飛距離を見た和田が「ギータ」こと主砲柳田になぞらえ「クリータ」と名付けるほど、くすぶっていた実力に変化の兆しが表れた。

 現状は甲斐、高谷に次ぐ第3捕手。有事に備える意味もあり12日までの出場は1試合、2打席にとどまっていたが“一発回答”で磨いた打力を見せた形だ。同学年のドラフト1位、甲斐野は開幕から活躍を続けている。「すごいなと思いつつ、自分もと思っていたし刺激になった」。初打点のボールも「また頑張る」と保管する気はない。離脱者続くチームにあって、ベンチから飛び出した22歳が光をもたらした。 (山田孝人)

=2019/04/14付 西日本スポーツ=