ソフトバンク泉が初星 好投の背景に無類の“データ好き”

西日本スポーツ

プロ初勝利を挙げ、森(右)からウイニングボールを受け取り、笑顔を見せる泉 拡大

プロ初勝利を挙げ、森(右)からウイニングボールを受け取り、笑顔を見せる泉

2イニングを無失点に抑えた泉 泉の今季登板成績

 ◆ソフトバンク3-1オリックス(22日・東京ドーム)

 初めて東京ドームをピンクに染めた「タカガールデー in TOKYO」。女性ファンの黄色い声援に背中を押され、ドラフト6位ルーキーの泉圭輔投手(22)にうれしいプロ初勝利が転がり込んだ。2番手として2イニングを無失点。ここまで1~3軍の計10試合で防御率0・00を続ける長身イケメン右腕が逆転勝ちを呼び込んだ。前日21日の西武戦は若手野手2人が「初ずくめ」の躍動。若タカの連日の活躍でチームは2連勝し、試合のなかった首位楽天とのゲーム差を縮めた。

■地道にデータ収集

 自らの力でプロ初勝利を呼び込んだ。両チーム無得点の6回無死一、二塁。先発東浜の後を受け、マウンドに立ったのはドラフト6位ルーキーの泉だった。いきなりメネセスに左中間への適時二塁打を浴び、先制を許したが「1点を取られた後は、なんとか最少失点でいこうと切り替えて落ち着けた」。1軍登板3試合目と思えない度胸だった。

 なお無死二、三塁から、187センチの長身を生かした角度のある真っすぐや変化球で伏見を一ゴロ、西野を左飛、後藤を二ゴロに仕留めて悪い流れを断ち切った。チームが同点に追いついた直後の7回も続投。3人で片付けた右腕はひそかに自身の初勝利を期待していた。「もしかしたらワンチャン(ス)あるかなと。内川さんがホームランを打ってくれないかな」。願いは通じた。その裏に内川が勝ち越しソロを放ち、勝利投手の権利が転がり込んだ。

■同期意識しすぎず

 今季は3軍戦の3試合、2軍戦の4試合、そして1軍戦の3試合を通じて防御率は0・00。好投を続けられる要因の一つが無類の“データ好き”だ。金沢星稜大時代、同一リーグの対戦相手の試合に出向くと、バックネット裏でじっくりと打者を観察。集めたデータを独自に分析した。プロ入り後も球団から支給されたスマートフォンのアプリで他球団の打者のデータ収集を地道に続けている。

 同期のドラフト1位甲斐野が開幕戦でプロ初勝利を挙げ、同7位の奥村も開幕から中継ぎ登板を重ねた。一方、泉は筑後のファーム施設で黙々と汗を流していた。「僕はシーズン終盤に1軍に上がれればいい方なんで」とひょうひょうとした表情を浮かべていたが、この日の試合後、本音を明かした。「正直、焦りはあった。意識しすぎて自分が空回りするのが嫌だった」。冷静な自己分析力も初勝利の根底にある。

 子どものころから熱烈な巨人ファンで試合前に思わず散策してしまうほどの東京ドーム。そんな“聖地”で受けたヒーローインタビューは「試合より、緊張した」と初々しさを見せた。

 工藤監督に「(6回に)あれ以上(点を)与えなかったというところが勝ちにつながったと思う。よくあそこで踏ん張ってくれた」と絶賛を受けた22歳。「ここで満足することなく、2勝、3勝と重ねていきたい」と慢心はない。投手陣にまた一人、頼りになる若手が現れた。 (長浜幸治)

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急きょ駆けつけた兄と握手

 泉のプロ初勝利を家族も喜んだ。都内で働く兄の亮輔さんは「携帯で試合の速報を見ていたら(泉が)勝ちそうだったんで、急いで職場からタクシーで来ました」と球場入りし、グラウンドで泉と満面の笑みで握手を交わした。両親と妹は金沢市の自宅でテレビ観戦。母優子さんは「テレビの画面越しに見ていて本当に自分の息子かな、と思った」と笑い「本当にうれしいですね」と喜んだ。

=2019/04/23付 西日本スポーツ=