バドミントン過酷な五輪レース本格化 潮田さん日本の強さの秘密語る

西日本スポーツ

 バドミントンの東京五輪代表争いが、19日開幕の国・地域別対抗戦スディルマン杯から本格化する。来年4月26日までの約1年間で獲得したポイントによる世界ランキングで決まり、1カ国・地域の出場枠は各種目で最大2枠。「五輪レース」と呼ばれる過酷な戦いだ。2008年北京、12年ロンドン両五輪に出場した潮田玲子さんが代表争いの行方を占うとともに、五輪でメダル量産が予想される日本の強さの秘密を語った。 (聞き手・構成=伊藤瀬里加)

■スディルマン杯 19日日開幕

 -五輪レースの最大の注目は、潮田さんも専門としていた女子ダブルス。世界ランクトップ4のうち3組が日本ペアで、その他のペアも上位につけている。

 「2組しか出られないけど、(東京五輪で)日本人ペア同士の決勝が見られるのではというほどハイレベル。リオデジャネイロ五輪の高橋(礼)、松友組の金メダルで、自分たちも頑張れば手が届くという認識に変わったと思う。私たちの時代は身近な選手が金メダルを取るということは想像できなかった」

 -高橋、松友組の世界ランクは4位。

 「タカマツ(高橋礼、松友組)は高橋が後衛、松友が前衛の形から、最近は松友が前でも攻めの体勢がつくれるなど、その辺りが進化した」

 -2位の福島、広田組(フクヒロ)の特徴は。

 「オールラウンダー。2人とも攻撃もできて守りもできる。海外でも安定した力を出して、あまり波がない」

 -昨年の世界選手権で福島、広田組との決勝を制した永原、松本組(ナガマツ)が1位に躍り出た。

 「超攻撃型。2人とも背がすごく高いので、スマッシュし始めたら怖い。ただ、レシーブの強化がもう少し必要なのかな。(金メダルの)世界選手権のようにいい状態が、はまれば強いけど、その状態にいつも照準を合わせることが大事」

 -代表争いのポイントは。

 「レースは1年間戦い抜かないといけないので一番怖いのはけが。少しでもレースを離脱するようなけがをすると、ランキングは毎週入れ替わる。1年間をいかに戦い抜けるか。タフな選手が出場権を得られる」

 -潮田さんは女子ダブルスと混合ダブルスで五輪に2度出場。五輪レースをどう戦ったか。

 「体調管理、試合と、1年間、緊張感を持って過ごさないといけない。やっぱり、一言では言えないというか、本当に大変だった。特に混合ダブルスで出場したロンドン五輪の時は、もう1組の日本の有力ペアとランキング的に接戦だった。そのペアのランキングポイントも計算する。自分たちの力を出せばいいというだけではなく、他の選手たちの結果も気にしなければならない」

■奥原と山口は何の心配もない

 -五輪前年になると海外勢も力を入れる。

 「全然違う。まずは夏の世界選手権がポイントになる。そこでいいパフォーマンスができた人はいい流れで五輪を迎えやすい。ただ、優勝したら五輪に対しても金メダルが期待される。そのプレッシャーとの戦いも大変になるでしょう」

 -女子ダブルス以外にも、日本勢は強い。

 「男子シングルスの桃田賢斗選手(NTT東日本)は昨年世界選手権でも日本人で初めて優勝して、世界ランク1位にもなった。精神的にも強くなったという印象がある。五輪で男子選手のメダルは今までないので、日本の歴史の中では重要になってくる」

 -女子シングルスの奥原希望(太陽ホールディングス)、山口茜(再春館製薬所)も経験豊富。

 「一番安心して見ていられる。五輪は魔物がすんでいて、いきなりトップランカーが初戦で負けるといった波乱があるけど、2人に関しては何の心配もせず、落ち着いてゲームができることが容易に想像できる」

■渡辺、東野組は見ていて楽しい

 -男子ダブルス、混合ダブルスもメダルが期待できる。

 「個人的にはミックス(混合ダブルス)は頑張ってもらいたい。渡辺勇大、東野有紗組(日本ユニシス)は2018年の全英オープンも取っているし、見ていて楽しい、ワクワクするプレーをしてくれる。男子ダブルスの園田啓悟、嘉村健士組(トナミ運輸)にも期待。見どころだらけ」

 -日本代表の躍進は04年、朴柱奉監督が就任してから。潮田さんはちょうど転換期に日本代表として活躍した。

 「アテネ五輪後に朴さんが来て、私たちが全日本総合選手権で初優勝。そこからスタートで、意識改革から始まった。最初に言われたのは、『日本人は技術が高いのに、何でこんなに自信がないんだ』といった言葉。練習はすごくやった。『これだけ練習したんだから』という自信を持ってコートに立つようになった。だから、一時期は故障者も多かった。全部の練習に耐えられるようになって、精神的にも強くなって、北京五輪の前ぐらいから世界と勝負できるようになった」

 -どのくらい練習量が増えたか。

 「今まではナショナルチームで集まって練習する機会がなかった。夜間練習が増え、『まだ追い込むのか』というほど追い込む。体壊れちゃうってくらいやった」

 -東京五輪まで約1年。後輩たちへの期待は。

 「まずは1年間、レースを戦い抜くことが大事。東京での五輪というのも誰も経験したことがなく、未知の世界だと思う。この1年間で、しっかりと結果を残して、プレッシャーに打ち勝てるだけの精神力を身に付けてほしい」

 ◆東京五輪代表選考

 2020年4月28日発表の世界ランキング上位者に出場資格が与えられる。今年4月29日から約1年間の国際大会の成績が対象。1カ国・地域で出場可能なエントリー数は最大2枠で、シングルスは16位以内に2人以上入っている場合は上位2人、ダブルスは8位以内に2組以上入っていれば上位2組が出場できる。

 ◆潮田玲子(しおた・れいこ)

 1983年9月30日生まれ。福岡県苅田町出身。6歳からバドミントンを始め、新津中3年時に全国中学校大会女子シングルス優勝。九州国際大付高(福岡)では全日本ジュニアの女子シングルスを制した。卒業後の2002年に三洋電機入社。小椋久美子さんと「オグシオ」ペアを組んだ女子ダブルスで04年から全日本総合選手権5連覇、07年世界選手権銅メダル、08年北京五輪5位。09年からは高校の先輩である池田信太郎さんとのペアで混合ダブルスに挑戦。10年に日本ユニシスに移籍し、12年ロンドン五輪に出場。同五輪後に現役引退。現在はキャスターなどとして活躍する。166センチ。

=2019/05/15付 西日本スポーツ=

PR

スポーツ アクセスランキング

PR

注目のテーマ