「ええっ?」母が仰天したデビュー戦の涙【バドミントン広田彩花の素顔】 (2ページ目)

西日本スポーツ

■兄の助言「大学より実業団」

 1学年上で熊本県八代市出身の福島とは中学で何度か対戦したが、歯が立たなかった。福島は全国屈指の強豪、青森山田高へ進学。彩花は玉名女子高へ進んだ。中学時代にシングルスでしのぎを削ったライバル、伊藤月規とペアを組んで2年時に全日本ジュニア選手権で準優勝。総子は伊藤が娘の成長を促したと感謝する。

 総子「中学まではダブルスを組める相手がいなくて、シングルスに出ていた。でも、フットワークが軽くなくて、右手前のシャトルが取れなかった。中学時代もダブルスで活躍していたツキちゃん(伊藤)と組み、彩花が後衛になって全日本ジュニアで準優勝。自信がついたようだった」

 自宅から通う彩花を支えようと、両親は部活後に練習できる環境として菊水ジュニアでの活動を続けた。2人の兄も高校卒業までは友人を誘い、練習相手になった。

 総子「女子校だったので、男子の球を受けるのは貴重な時間だった。決してフットワークが軽い子ではなかったけど、スマッシュに対応できるようになっていった」

 卒業後、大学進学を考えていた彩花に実業団のルネサスから誘いが来た。無理だと悩む本人を後押ししたのは、次兄の拳士(けんじ)の言葉だった。

 総子「鹿児島大の教育学部で体育科を専攻していたからか、拳士は『女子のピークはすぐやってくる。本気でバドミントンを続けるならすぐ実業団に行った方がいい』と言った。私たちに言えない本心の部分を兄に言っていた」

 ルネサスで雲の上の存在と思っていた福島と社会人になってペアを組むようになり、廃部して移籍した再春館製薬所で17年に世界選手権で銀メダル。昨年4月に再春館製薬所を退社し、岐阜トリッキーパンダース(現アメリカンベイプ岐阜)に移った際は、本人の決断を尊重して何も言わなかった。

 総子「やるのは本人で、本人の中で決めていたこと。彩花も自分のやることを応援し、反対しないだろうと思っていたんじゃないかな。欲を言えば東京五輪に出てもらいたいけど、簡単なものではない。彩花が福島さんとよく言っているけど、五輪代表争いを楽しんでほしい。私たちも試合前はいつも、どんな試合をするのかなとわくわくして見ている」

 言葉を交わさなくても厚い信頼が親子の間に築かれている。

【故郷は「いだてん」の里】

 熊本県和水町はNHK大河ドラマ「いだてん」の主人公で「日本マラソンの父」と呼ばれる金栗四三の出身地。06年に合併するまでは広田は菊水町、金栗が生まれた旧春富村は三加和町だったため厳密には異なるが、総子は「彩花も長距離はまあまあ速かった」と健脚の町の流れを継いでいる。もっとも、陸上より得意だったのが水泳。「通っていた菊水西小は水泳が盛んで、1年生はみんな、自由形も平泳ぎも泳げていた。彩花も速かった」と振り返った。

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