アーチェリー界に期待の新星・園田稚 最年少16歳で女子日本代表入り

西日本スポーツ

 アーチェリー界に大分県別府市出身の新星が現れた。園田稚(17)=東京・足立新田高2年=は昨秋、史上最年少の16歳で女子の日本代表に選ばれ、めきめきと成長。6月にオランダで開催される世界選手権の出場権を手にした。中学3年時に故郷を離れ、卓球の張本智和(15)=木下グループ=らを輩出した日本オリンピック委員会(JOC)のエリートアカデミーに入校した。アーチェリーを始めたのは中学1年。競技歴は浅くても、169センチの長身と長いリーチを生かし、来夏の「TOKYO」を射抜く。

■身長169センチ美しい立ち姿

 70メートル先の標的は、遠くからだと米粒ぐらいの大きさにしか見えない。園田は的の中心にある10点(満点)の円を指で示した。直径12・2センチ。「達成感というか、ここに当たると気持ちいい」。17歳の年齢にマッチした初々しい笑みを浮かべた。

 昨年11月に日本代表入りした新星は、あれよあれよという間に台頭した。3月の世界選手権3次選考会を女子2位で通過。最終候補(4人)に残り、4月にコロンビアで開催された同選手権の最終選考会のワールドカップ(W杯)に出場した。

 「自分のパフォーマンスを出すことだけを考えた」。昨年のアジア大会で混合リカーブを制した杉本智美(ミキハウス)、久原千夏(福井信用金庫)に続き、予選ラウンドの合計点で日本選手の上位3人に入り、世界選手権の代表に選ばれた。

 幼稚園から中学1年までピアノを習った以外は小学校時代に水泳、バトントワリングを少しやっただけ。どこにでもいそうな普通の女の子の人生は、ひょんなことから変わっていった。契機は、母親の五代さん(52)が自宅の近くにあった「別府市営弓道場 アーチェリー場」の看板を目にしたことだ。娘が小学6年の時、熊本県荒尾市の遊園地、グリーンランドで遊んだ際に「射的が楽しかった!」と無邪気な笑顔を見せたことを思い出した五代さんは、ひょっとしたら、と考えた。「生涯スポーツで大人になっても続けられそう」。母に連れられて訪れたアーチェリー場で園田は競技の面白さにはまった。

■「リズム良く矢を打ち切る」

 素質を見込んだアーチェリー関係者の勧めもあり中学3年で上京し、エリートアカデミーに入校。ここで才能が“開拓”された。アカデミーの金哲敏コーチが振り返る。「競技経験が短く、技術は同期4人の中で最も劣っていたが、人の話を素直に聞ける」。最初の指導は「3カ月、真っすぐ立つことだけを意識しなさい」だった。引き手と押し手が正反対の動きをするアーチェリーでは体幹の強さと安定した下半身が不可欠。すっとした美しい立ち姿は、教えを忠実に実践したことでつくられた。

 緊張して体に余分な力が入らないように、速いテンポで矢を放つ。園田は普段の練習から他の選手より速く歩くことを心掛け、あえて心拍数が上がった状態で弓を引く。いずれも自ら編み出したルーティンだ。世界選手権でメダルを獲得すれば、東京五輪の日本代表を決める来春の最終選考会にシードで出場できる。「リズム良く矢を打ち切ることが目標」。五輪の出場枠は男女とも各3。1年先の標的は決まっている。 (西口憲一)

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