森保監督とともに代表を兼任する男 冨安健洋が描く成長曲線

西日本スポーツ

 香川真司、柴崎岳、原口元気、酒井高徳。サッカー日本代表を支えてきた選手たちと、バドミントン世界ランキング1位の桃田賢斗。そうそうたる顔触れと並んでサッカー日本代表DF冨安健洋(20)=シントトロイデン=は壇上に立った。5月30日、冨安は所属するマネジメント会社「UDN SPORTS」が社会貢献活動を行う団体「UDN Foundation」の設立会見に出席した。地域活性化や、選手のセカンドキャリアを支援する事業などを行う取り組みで、「どのように社会に貢献できるかを考えて行動したい」と話したが、半年前、この“スター集団”の中に冨安が加わっていようとは誰が想像しただろうか。

 冨安は年初のアジア・カップで全7試合に出場し、チームの準優勝に貢献した。コンビを組んでセンターバックとしての能力を感じた吉田麻也は、右肩上がりの成長曲線を描く後輩を評価した。

 「ピッチでの落ち着きやパフォーマンスは素晴らしい。人間性にも目を見張るものがある。センターバックはいろんな選手が出てきた。彼にとって、ここからが本当の勝負でしょう」

 この6月が冨安にとって「本当の勝負」になる。5日にトリニダード・トバゴ(豊田スタジアム)、9日にエルサルバドル(ひとめぼれスタジアム宮城)との強化試合に臨んだ後は、14日(日本時間15日)にブラジルで開幕する南米選手権に臨む。「国のためにプレーする気持ちは、常に変わらない。継続して、上を目指してやっていく」と日の丸を背負う覚悟が冨安からにじんだ。

 フルメンバーがそろった国内の強化試合では昌子源らライバルとの競争が待ち、東京五輪世代(現在22歳以下)の強化がテーマに掲げられた南米選手権ではチームを引っ張る役割も求められる。既に欧州でも名を広めつつある20歳をフル代表と東京五輪代表を兼任で率いる森保一監は高く評価。両代表を“兼任”させ、さらなる進化を促す。

 「日本代表の中でも成長を見せている選手と思っている。求めたいのは周囲のカバーやコーチングなど、自分がプレーするところ以外にもかかわってほしい。攻撃に関して、パスだけでなく、ボールを持ち上がるなど、守備ラインで起点になってもらいたい」

 冨安が課題として掲げるのも攻撃への絡みだ。「ビルドアップの部分はずっと求められている。成長はしたと思うが、まだまだ足りない」。持ち味の対人プレーや空中戦の強さに加え、さらなるレベルアップを誓う。

 日本代表のセンターバックは、冨安だけでなく成長著しい若手の台頭が目立つ。今回、吉田がコンディションが整わずにメンバーから外れたこともあり、激しい定位置争いが予想される。

 現状は3月のコロンビア戦でコンビを組んだ冨安、昌子が中心。東京五輪世代の中山雄太も初めて代表入りし、国内組では23歳の畠中槙之輔も横浜Mで安定感を示し、浦和の山中亮輔が追加招集された。今回はベルギーの所属クラブの事情で不参加となったが、W杯ロシア大会代表の植田直通もいる。

 吉田は今後の競争について「海外に行った選手も多く、全員がいろんなことを吸収している。センターバックがたくさん出てくるのはうれしいこと。自分も彼らに負けず、いいアドバイザーとなれるように、ピッチ内外で取り組んでいきたい」と強調した。

 日本代表は2日から愛知県で合宿を始める。冨安も故郷の福岡でつかの間のオフを味わい、再び代表モードに突入する。「今年は大きな舞台を経験して、成長できた。楽しく過ごせたシーズンだった。代表での経験を今後につなげたい」。フル回転の6月で安定感を継続すれば、冨安が築いた地位はもっと強固になる。(松田達也)

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