162センチ素根が目指す「小さくても金」

西日本スポーツ

 柔道の世界選手権(8~9月・日本武道館)に出場する女子日本代表が北海道旭川市内で行っている合宿で78キロ超級で初出場する素根輝(環太平洋大)=福岡県久留米市出身=が金メダルに向けた秘策を練っている。15日まで行う合宿で増地克之監督と直接組み合って指導を受けるなど、自身より大きい相手への対策に入念に取り組む。身長162センチ、110キロの体格は最重量級では小柄。世界選手権、そして来年の東京五輪で“小さくても金”を目指し、着々と準備を進める。

■「技を出す速さ」が鍵

 身長187センチ、現役時代は男子最重量級のトップ選手だった増地監督は“最適”だ。12日の公開稽古では打ち込み相手になってもらい、直接指導を受けた。「大きい相手と組み合った状態からさばいて技にいくまでを練習させてもらった」。奥襟をつかまれた体勢などで自身よりも身長の高い相手と闘う感覚を養った。

 個人戦で初出場の世界選手権では、国内よりもさらに大柄な相手との試合が続く。ロンドン五輪金メダリストで世界ランキング1位のオルティス(キューバ)、2月のグランドスラム・パリで敗れたキンゼルスカ(アゼルバイジャン)はともに180センチ。国内のライバル朝比奈沙羅(パーク24)も含め、有力選手は軒並み170センチを超し、190センチ超の選手もいる。

 「オルティス選手はもちろんだけど、誰か一人ではなく、世界の強い、大きい選手を意識している」と対策を進める。

 「小よく大を制す」鍵はスピードにある。不利な体勢を強いられて先に指導を取られることが多い点が課題。素根は技を出す速さにあると原因を分析する。「先手、先手で速い攻めを意識している」。引き手が取れない場合に逆組みの技に入ったり、相手を崩したりするなど工夫も重ねる。

 増地監督は「試合時間が長くなればなるほど、彼女の持ち味が出てくる。罰則(指導)を抑えて、最後はスタミナで勝ちきる試合ができれば、金メダルの可能性も十分にある」と稽古の成果を本番で出すことを期待した。「小さい体が武器だと思っている。相手の懐に飛び込めるし、小さくても力負けをしているわけではない」。この夏、日本武道館で世界を驚かせた先に、東京五輪がはっきりと見えてくる。 (伊藤瀬里加)

■走り込みに苦戦

 公開2日目の13日は旭川市内のスキー場でトレーニングを行った。ゲレンデの傾斜を使ってのダッシュを繰り返し、「あまりこういうトレーニングはしない。きつかったです」と苦笑い。ランニングトレーニング後は「ゾーブボール」という直径約3メートルのボールを使ったレクリエーションも実施。朝比奈や阿部詩(日体大)が中に入ったボールを転がし、「難しいし、きつかったけど楽しめた」と振り返った。

■“最難関”はキンゼルスカ

 162センチの素根は昨年11月のグランドスラム(GS)大阪大会で世界ランキング1位のオルティスと初対戦。180センチのロンドン五輪女王の懐に入って担ぎ技を狙ったが、うまくさばかれ、指導3で反則負けを喫した。だが、翌12月のマスターズ大会(中国)決勝では雪辱を果たしている。

 最も苦戦している相手が、180センチのキンゼルスカだ。直近の対決では2月のGSパリ大会の準決勝で一本負け。試合中に隣の試合場からなだれ込んできた男子選手と接触し、右膝を痛める不運もあった。

 昨年2月のGSパリ大会準々決勝ではキンゼルスカに自身唯一の勝利を収めているが、準決勝で194センチの王彦(中国)に屈した。

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