サニブラウンVの舞台裏 9秒台期待で関係者ヤキモキ

西日本スポーツ

 陸上の日本選手権(福岡市・博多の森陸上競技場)は大会第2日の28日、男子100メートル決勝が行われ、サニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)が大会新記録の10秒02で優勝。世界選手権の代表入りを決めた。

 桐生祥秀(日本生命)らと史上初の9秒台決着も期待されたが、結果的には実現せず。福岡陸上競技協会の八木専務理事は好記録に拍手を送ったが「今年に入って国内で9秒台が出ていなかったので、楽しみにしていた。福岡で記録を出すために取っておいてくれてるんじゃないかと思ってたんですが」というのも本音だった。

 夜に男女の100メートル決勝を控えたこの日は、梅雨の晴れ間がのぞいた。大会関係者は胸をなで下ろしていたが、午後になると次第に雨模様となり、午後4時半ごろから雨脚が強まって、関係者の表情も曇った。

 競技中の選手が足元を気にせざるを得ない強雨だったが、水はけは良く、天候さえ回復すれば大きな支障にはならないと関係者は見ていた。懸案は風。雨脚が強まった際に行われた女子110メートル障害では、向かい風が強まり、最大1・5メートルになっていた。

 普段からホームストレートでは向かい風が多いとも言われる上、小高い丘の上という立地条件もあり、風向きが一定しない。大会関係者はフィニッシュ側のシャッター開閉で空気の流れの制御を図る構えだった。

 雨とともに向かい風が強まった後、一旦シャッターは全閉。本番直前、フィニッシュ側のシャッターを開けてフィニッシュ方向への空気の流れをつくろうとしたが、うまくいかず、結局は全閉した。微調整の間、大会関係者が声を荒らげて指示を飛ばす姿も見られた。

 結果、男子100メートル決勝は向かい風0・3メートルの条件。八木専務理事は「強い向かい風にならなくて良かった」と、事なきを得たといった口ぶりだった。

 日本選手権の福岡開催は実に72年ぶり。昨年改修された会場の博多の森陸上競技場はトラックの舗装材も新しくなり、反発力、滑りにくさなどが向上したという。

 競技場は福岡空港から約1キロの距離にあり、旅客機のエンジン音やヘリコプターのプロペラ音が絶えない。大会関係者は選手の集中力をそぐ「爆音」に神経を使い、スタートと重ならないよう日本陸連とスターターが話し合っていた。

 大会日程も複数種目に出場する選手の負担を考慮し、例年より1日長い4日間に。100メートルの決勝は、昨年は200メートルの予選と同日に行われたが、今年は日が分かれていた。

 課題のスタートでやや出遅れたサニブラウンながら、後半に持ち味の爆発的な加速を見せ、スタンドの観衆は熱狂した。ふくらみきった9秒台への期待で、レース後の競技場内は、異様な空気に包まれていた。

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