ソフトバンク上林9回2死逆転ランニングV弾 「入っているか分からず」全力疾走

西日本スポーツ

9回2死一塁、6号逆転ランニング2ランを放つ上林 拡大

9回2死一塁、6号逆転ランニング2ランを放つ上林

9回2死一塁、左翼への当たりで一気に三塁を蹴る上林。記録はランニングホームラン ソフトバンク打者のランニング弾

 ◆日本ハム4-5ソフトバンク(29日・札幌ドーム)

 無我夢中でダイヤモンドを駆け抜けた。1点を追う、9回2死一塁。石川直の高め直球を捉えた上林の打球は、逆方向の左翼フェンス最上部付近に直撃。跳ねた打球は一度スタンドに入ったようにも見えた後、グラウンド中堅付近に落ちてきた。塁審の判断はインプレー。日本ハムナインは本塁打と認識したのか、一瞬きょとんとした表情を浮かべて動きが止まった。

 「入っているか分からなかったが、打球が返ってきたのは見えた。(三塁コーチの)村松コーチも手を回していたので」。最後まで全力疾走しホームを踏んだ。村松外野守備走塁コーチも「しっかりやるべきことをできた」と胸を張った。6号逆転2ランは「ランニング本塁打」と判定された。自身初だ。ホークスでは1999年の小久保以来20年ぶりの劇打。苦しい状況をはね返してチームを3連勝に導いた。

 5回は右前打で好機を広げ、7回にも右前打。4月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来、今季3度目の3安打猛打賞もマークだ。「勝ちに貢献できてよかった。複数安打はやっぱりうれしい」と笑顔を見せた。

 4月に右手甲に受けた死球から右手薬指を剥離骨折。治療、リハビリ、ファームでの調整を余儀なくされた。今月14日に復帰後も、9試合出場した交流戦では打率1割。患部の腫れは今もあり、痛みも完全に消えてはいない。「1軍に戻ってきてからも、チームに貢献できていなかったので」。右手の影響もあって、納得のいくスイングができず、悔しさを募らせていた。

 転機は名古屋だった。工藤監督は控え組とともに、リーグ戦再開前の期間を利用して上林をウエスタン中日戦に派遣した。若手とはいえ、主力選手が向かうのは異例だ。将来を見据えた指揮官の「試合の中でしかつかめないこともある」との親心でもあった。

 不振脱却に向けてもがく中、中日戦の最中に腕を構える位置を下げた。するとバットの出方が良くなったと感じた。「右手と左手の力の入り具合はどうしても違うけど、しっくりきた。体と連動した」。右手甲の痛みは、今季付き合っていくしかないと覚悟している。痛みを踏まえた上で実戦で試した新たな打撃フォームに好感触を得て猛打につなげた。

 リーグ戦再開初戦前には「きょうからが開幕です」と口にした。「前半戦は何もできなかった。後半戦はチームに貢献できるようにしたい」。上林の逆襲はここからだ。 (山田孝人)

■柳田三塁塁審「インプレー」 映像確認でも判断できず

 柳田三塁塁審はランニング本塁打とした上林の9回の2ランについて「フェンスのトップに当たって跳ねたと思ったので、インプレーで手を広げた」と説明した。試合後に審判団で映像を確認したが、跳ね返ったボールが一度スタンドに入ったか、そのままグラウンドに落ちたかどうかは「(カメラの)角度が二つで分からなかった」という。両球団からリクエストなどの動きがなかったため審判団もリプレー検証せず、上林が生還してランニング本塁打が公式記録となった。仮に検証していた場合は「判断は分かれるような気がします」と話した。

◆福岡移転後7人目

 上林が通算43本目で初のランニング本塁打。パの打者のランニング弾は2017年9月14日に角中(ロッテ)が札幌ドームで記録して以来。ソフトバンクではダイエー時代の1999年8月20日に福岡ドームで小久保が満塁で記録して以来で福岡移転後は7人、7本目。「逆転」「決勝」の肩書付きは移転後初めてだ。

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