ソフトバンク5時間21分激闘制す 上林「毎日申し訳なかった」

西日本スポーツ

延長12回1死満塁、サヨナラ犠飛を放ちもみくちゃにされる代打・栗原 拡大

延長12回1死満塁、サヨナラ犠飛を放ちもみくちゃにされる代打・栗原

9回1死、同点ソロを放つ上林 上林の最近5試合の打席結果 9回1死、上林は同点ソロを放ち大歓声の中、ダイヤモンドを回る

 ◆ソフトバンク8―7西武(8日・東京ドーム)

 楽に勝てるはずだったが、とにかく延長12回サヨナラ勝ちだ! 今年の「鷹の祭典」開幕戦は5時間を超える壮絶な試合になった。不振に苦しんだ上林誠知外野手(23)が1点を追う9回に8号同点ソロを放つなど2本塁打。プロ入り初の4安打も記録し、勝利に大きく貢献した。最後は栗原陵矢捕手(23)の犠飛で今季4度目のサヨナラ勝ち。救援陣が崩れて落としかけた試合を拾った。

■上林「毎日申し訳なかった」

 鋭いライナー性の打球が、水色に染まった右翼スタンドに消えた。1点ビハインドの9回1死。上林が西武の守護神増田がフルカウントから投じた7球目、真ん中低め151キロの真っすぐを豪快にすくい上げた。起死回生の8号同点ソロ。右腕を上げて拳を握りしめて「思い切っていった。入ってよかった。一人だけ蚊帳の外で打ててなくて、毎日申し訳なかったので」。延長12回の栗原のサヨナラ犠飛につながる一打を放ち、歓喜のシーンでは喜びを爆発させた。

 今年初の「鷹の祭典」で打棒が復活した。3回に右前打を放つと、5回には高橋光の真っすぐを逆方向へ。左中間席へ放り込んだ7号2ランを「力まず打つことができた。これをきっかけに、もっと打てるように」と振り返ると、言葉通り7回にはマーティンから右前に運んで内川のいったん勝ち越しの犠飛を呼び、9回に劇弾だ。プロ初の1試合4安打&今季初の1試合2本塁打をマークだ。

 苦しいシーズンだ。春季キャンプで腰に張りが出て調整が遅れた。4月のロッテ戦では右手甲に受けた死球から右手薬指を剥離骨折。治療、リハビリを余儀なくされた。打率3割、30本塁打、30盗塁の「トリプルスリー」を目標に掲げたが現実は残酷だった。

 今も残る右手の痛みが影響し、打率は2割に届いていない。「(トリプルスリーと)大きなことを言ってこの数字で。こんな数字で野球をしたことがない…。今年は気が晴れたことがない」。打席に入り、バックスクリーンに映る自身の成績を見るたび、気持ちは落ち込んだ。

 そんな状態でもファンの声援に奮い立たされた。「こんな成績なのに応援ってしてくれるんですよね。そういう方々に喜んでもらえるように。自分のことも大事だけど、そっちを優先したいと思った。だから今できることをやろうと」と決意した。

 右手の痛みに応じた打撃フォームを模索。そのフォームに体を合わせるため、内転筋の可動域を広げるストレッチも試合前に必ず行う。「効果が出るかは分からない。でも今成績が出ていない以上、やってみる価値はある」。屈辱に耐えながら手探りで前に進んだ。

 今季両リーグ最長タイの5時間21分の激闘を終えてのお立ち台。「長い試合で疲れたけれど、本当に勝ててよかったです。終電の時間もあるので気をつけて帰ってください」と笑顔を見せた。積み重ねた努力がチームを連敗の危機から救い、願い通りにファンを喜ばせた。 (山田孝人)

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