筑陽学園 夏の大舞台へ 西日本短大付先制実らず 高校野球福岡大会

西日本新聞

 第101回全国高校野球選手権福岡大会は29日、久留米市野球場で決勝戦が行われた。筑陽学園が7‐4で西日本短大付を下し、16年ぶり2回目の優勝を果たした。筑陽学園は、春夏連続の甲子園出場となる。

 降雨の影響で、試合は予定より約1時間遅れてプレーボール。西日本短大付が二回に先制したが、筑陽学園は六回、進藤勇也捕手(3年)の2点本塁打で逆転。終盤にも追加点を挙げ、逃げ切った。西舘昂汰投手(3年)は2戦連続の完投勝利。

 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開催される選手権大会は8月3日に組み合わせ抽選会があり、同6日に開幕する。

■正真正銘のエースに 筑陽学園 完投の西舘昂汰投手

 主役は「背番号10」のエースだった。筑陽学園の西舘昂汰投手(3年)が、前日の準決勝に続く160球の完投劇。「自分が打たれるわけにいかない」。強い自負を胸に終盤に連続したピンチも切り抜け、最後の打者を空振り三振に仕留めると、仲間の輪の中心で右手を高々と突き上げた。

 最大のヤマ場は、八回裏。西日本短大付打線の連打で1点差に追い上げられ、なお塁上に走者2人。一打逆転の窮地だったが、平常心を失わず打者のバットに空を切らせ、反撃機運を断ち切った。

 春のセンバツには出場したものの、2番手投手だった。福岡に戻り、エースの座を取りに行った。

 投球の幅を広げようと、従来とは異なる変化をする新たなスライダーを習得。課題だった精神面は、「女房役」の進藤勇也捕手(3年)がくれた「走者を抱えても、打者に集中しろ」の言葉を支えに、実戦で鍛えた。

 迎えたこの日。中盤、連投でおりのようにたまった疲労を心配する江口祐司監督から交代を示唆されたが、「大丈夫です」と答え続けた。決してマウンドを譲らなかったその姿に、指揮官は試合後のインタビューで目を潤ませ、しばし絶句。そして言った。「西舘に託しました」

 今大会を通して、正真正銘のエースに成長した右腕。「甲子園では、今まで勝つためにやってきたことの集大成を見せたい」と力を込めた。

■連続4試合577球投げ抜く 西日本短大付 江崎陸投手

 死力を尽くした者たちを優しく包むように、ゲームセットと同時ににわか雨が来た。「整列していたら、なんだか泣けてきて。本当に終わっちゃったんだなって」。敗れた西日本短大付の先発・江崎陸投手(3年)は、赤く潤んだ瞳で絞り出した。いつもは、すぐに念入りにする肩と肘のアイシング。「もう必要ないので」と、さみしそうに笑ってみせた。

 5回戦から決勝までの連続4試合、計577球を1人で投げ抜いた。

 この日、前半は内角の直球、外角と縦に沈む変化球のコンビネーションで筑陽学園打線を翻弄(ほんろう)した。

 五回、リリースの瞬間に指先に力が入らなくなった。制球が定まらず四球を与え、甘く浮いた球を続けざまに痛打されて点を失う。マウンドに集まった仲間から「笑顔、笑顔」「まだリードしてるぞ」と励まされ、「負けたくない」と闘志をかき立てた。だが、一度火の付いた相手を止めることはかなわなかった。

 「おまえがいたから、ここまで来られたよ」「ありがとな」‐。試合後、掛けられた言葉にまた涙が。「この仲間と戦えて、最高の夏でした」

PR

高校野球 アクセスランキング

PR

注目のテーマ