兄の分まで活躍誓う 海星の太田捕手「夢舞台で恩返し」

西日本新聞

 12日、初戦に臨む海星の太田勇新捕手(3年)は幼い頃からの憧れでもあり、ライバルでもあった兄の思いを背に聖地に立つ。「野球センスが抜群だった」二つ上の真平さん。2年前の夏の大会に県代表として出場した波佐見の部員だったが、けがに泣いてベンチ入りできなかった。

 兄との原風景はキャッチボールだった。小学生の頃、兄の後を追って軟式チームに。長身だが器用さに欠ける弟の打順はなかなか上位に上がらない。一方の兄は中学野球部でエース番号を背負っていた。まぶしい存在だった。

 太田捕手は海星に入学後、コーチの指導で打撃のコツをつかむ。ミスショットが減り、打球はフェンスを越えた。捕手に転向し1年生ながらチームの中心として期待された。

 そのころ波佐見が甲子園の切符を手にした。3年生の兄はうれしそうにしていたが、ベンチ入りから外れた。2年前に肘を壊し、マウンドに立てなくなっていた。聖地での役割は、ボールボーイ。初戦敗退。それでも土産話に心が躍った。

 「甲子園は楽しいぞ。他の球場では味わえない」

 兄の言葉に奮起した太田捕手は2年の夏、打撃の中軸を任され本塁打の数も増えた。そんな弟を兄はいつも気に懸けてくれた。腰を故障した際は、自身の経験から「無理をするな」と助言してくれた。甲子園行きが決まって、メンバーに自分の名があることにあらためて喜びを感じた時、兄が感じた悔しさも心から分かった。「けがさえしなければ、兄ちゃんはマウンドに立てたはず」と今も思う。

 「おまえが行ってくれて良かったよ」。6日の甲子園開会式終了後、スタンドに現れた真平さんが声を掛けてきた。高校通算17本塁打の弟の目標は、バックスクリーンへの特大アーチ。「兄ちゃんが立てなかったあの舞台で活躍する。それが恩返しになると思います」

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