筑陽学園、夏1勝届かず 全力151球 西舘悔いなし

西日本スポーツ

 ◆全国高校野球選手権2回戦:筑陽学園3-5作新学院【延長10回】(11日・甲子園)

 今春選抜大会ベスト8の筑陽学園(福岡)は作新学院(栃木)に敗れた。2点を追う9回2死一、二塁から石川湧喜(3年)の2点三塁打で追い付いたが、延長10回にエース西舘昂汰(同)が相手の足を絡めた攻撃で2点を勝ち越されて力尽きた。春は甲子園で3試合を戦ったが、夏は16年前の初出場に続いて初戦敗退に終わった。

■10安打5失点

 試合が終わりグラウンドを出るときに、涙が込み上げた。「もうここで野球ができないと思うと…。相手の校歌を聞いて、終わったんだなと思った」。春夏3度の優勝経験がある甲子園常連校を相手に1人で投げきった。筑陽学園のエース西舘は高校野球最後の瞬間をかみしめた。

 緊張からか、立ち上がりにつまずく。初回、先頭打者から2連打を許し1点を先制された。「ここで気持ちが落ち込んだら意味がない」と気合を入れ直した。選抜大会の後に「このままでは夏は通用しない。投球の幅を広げるために」と、覚えた小さく変化するスライダーを使いながら、最少失点に切り抜けた。

 その後も粘り強く投げ続け、9回まで3失点。反撃を待った。7、8、9回を三者凡退で締めながら、「取り返してくれる」と信じていた。そのエースの願いは2点差を追う9回裏に届く。2死からの3連打で同点。延長に入ってもマウンドに立った。

 強豪校の底力を思い知ったのは直後の10回だ。先頭打者に安打を許すと、二盗、三盗と続けて決められ、適時打で決勝点を奪われた。捕手の進藤勇也(3年)の送球はわずかに間に合わなかったが「進藤でアウトにできないならどんな捕手もアウトにできない」とここまで支えてくれた相棒への信頼は最後まで揺るがなかった。

 昨夏のベンチ外から1年後、夢だったエースナンバーを背負って夏の甲子園のマウンドに立った。西舘とエースを交代し甲子園で背番号10となった西雄大(3年)は試合中ベンチで「最後まで投げろ」と励ましてくれた。「西や菅井(一輝)を甲子園で投げさせたかった。勝てなくて申し訳ない」。昨秋から明治神宮大会、選抜大会、福岡大会と一緒に乗り越えてきた仲間への思いを口にした。

 敗れはしたが、全力の151球だった。「最後にこういう試合ができるとは思わなかった。楽しかった。悔いはないです」。卒業後は進学を希望。次のステージは大学野球になる。西舘は涙が乾いた目で前を見た。 (前田泰子)

    ◇    ◇

 筑陽学園・江口祐司監督(延長10回の接戦で競り負け)「野球の神様にこっちを向いてもらえなかった。相手は伝統校だが、この経験を生かしてチームにいい伝統を残していきたい」

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