日本人では36年ぶり快挙 鹿児島から東京五輪目指すボクサー

西日本スポーツ

鹿児島県鹿屋市内のジムから東京五輪を目指す岡沢セオン 拡大

鹿児島県鹿屋市内のジムから東京五輪を目指す岡沢セオン

鹿児島県鹿屋市内のジムで地元高校生らとサンドバッグを打つ岡沢セオン(左)

 本土南端の鹿児島県鹿屋市から2020東京五輪を目指すボクサーがいる。男子ウエルター級で世界選手権(9月7日開幕)に出場する岡沢セオン(鹿児島県スポーツ協会)だ。国際大会初出場だった4月のアジア選手権で銀メダルを獲得。日本ボクシング連盟によると日本人では36年ぶりの快挙だった。11月には同県阿久根市で五輪予選出場権を懸けた全日本選手権が開催。山形育ちの23歳は「第二の故郷」で地元の後押しを受け、夢舞台へと羽ばたく意気込みだ。 (末継智章)

 アジア選手権で日本人として36年ぶりに決勝進出を果たした岡沢に“第一人者”の自覚が備わってきた。「以前は憧れだった東京五輪に、今は出るのが使命と思う。世界選手権でメダルを取り、勢いをつけて(五輪予選代表を懸けた)全日本選手権も取る」。昨春、鹿屋へ来た男が不退転の決意を口にした。

 小中学校の9年間にレスリングで磨いた間合いの取り方を駆使するアウトボクサー。しかし、日大山形高や中大では主立ったタイトルはなく、母には大学卒業後に引退して就職すると約束して都内の企業から内定をもらった。転機は大学4年だった2017年秋。全日本選手権ライトウエルター級の準決勝で敗れて未練を残すと、大学の後輩からも現役を続けるよう説得された。

 「鹿児島出身の後輩から、県体育協会が20年の地元国体に向けて指導員を探していると聞いて。親にも話さず内定を蹴り、かばん一つで鹿屋に来た」。鹿屋市内のジムで強豪の鹿屋工高生を中心に県内の選手を教えつつ、自身も1階級上げて国体や全日本選手権優勝を目標に置いた。

 当初は同階級で大人の練習相手がいないことに不安を感じたが「頭の中で強い相手を想像してサンドバッグを打つうちに、実際に対戦したときに強さを感じなくなった」。ジムの会長で県連盟強化委員長の荒竹俊也氏から課されたメニューで下半身を鍛え、アウトボクシングに磨きをかけた。昨秋の全日本選手権で初優勝。初の国際大会だったアジア選手権でも結果を残し、五輪代表に名乗りを上げた。

 結果を残すにつれて地元の応援も高まってきた。「飲み屋の大将がご飯を作ってくれたり、近所の人が野菜をくれたり…。地域の人が温かい。自分のためだけでなく、いろんな人に恩を返したい」。地域の期待も背負って五輪のリングに立つ。

■同じジムに高校王者 「8冠」狙う荒竹

 岡沢が通うジムには高校王者もいる。荒竹会長の長男一真(鹿屋工2年)で、ピン級で全国総体を2連覇。昨秋の国体と今春の全国選抜も含めて4冠中で、WBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥も成し遂げられなかった「高校8冠」を狙う。毎朝、ジム近くの階段や公園をともに走る岡沢は「彼も含めた高校生への指導に説得力を持たせ、彼らが自信をつけるためにも負けられない」と“後輩”の存在を励みにしている。

■出場枠獲得で五輪代表に

 ボクシングの東京五輪男子日本代表は、来年のアジア・オセアニア予選や世界最終予選で出場枠を獲得した選手がそのまま選ばれる。五輪予選の出場権は全日本選手権の優勝者に与えられる。ただし世界選手権でメダルを獲得した選手と全日本選手権覇者が異なる場合は、12月にプレーオフを開いて決める。

 五輪予選で出場枠を確保できなくても、日本は4階級に開催国枠が与えられる。この場合、五輪予選の結果が良かった選手を優先して当てはめる。

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