しぶこのソフトボール風景に見た岡本綾子との共通点

西日本スポーツ

 東京五輪で日本選手団の先陣を切って登場するソフトボール女子日本代表の宇津木麗華監督は、北京五輪以来となる金メダル獲得の期待を担う中で令和を迎えた。

 生まれ故郷の中国から昭和に来日。選手や指導者として平成を駆けた。一度は五輪から除外された期間の苦しさを知るからこそ、選手には日本代表として五輪で戦う意味や価値を問い続ける。東京五輪を「競技人生の集大成」と言い切る宇津木監督が思いを語った。

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 東京ドームで応援していただいた2万人を超す大観衆の中に彼女もいたのだ。1-0で延長サヨナラ勝ちした6月25日の日米対抗。私はゴルフ界の知人から聞いていた。「子どもの頃にソフトボールの投手をやっていた選手を連れて行くから」。それが渋野日向子さんだった。大ファンという上野由岐子の所属先、ビックカメラ高崎の選手と一緒に観戦し、大喜びだったそうだ。彼女の「ゴルフよりソフトボールが好き」という談話を読むと、ありがたいというか、ちょっと気恥ずかしいほどだ。

 神様はいると思う。日米対抗を観戦後にプロ2勝目を挙げ、あのAIG全英女子オープンでの快挙。飛躍への一助に私たちがなれたとしたら、すてきなこと。団体スポーツのソフトボールとは違っても、経験者の彼女ならソフトボールの魅力や素晴らしさを知っているはず。勝手な推察ながら、米国の強力打線をねじ伏せた藤田倭の気迫あふれる投球をはじめ、2時間の試合から何かを発見し、自分のゴルフへの力に変えてくれたのではないか。

 先日、全英帰りの北海道での試合をテレビで見ていると、頭にトンボが止まる中、バーディーを決める場面があった。自然現象に見えるけれど、誰にでも起こるわけではない。トンボが止まったままというのは頭がぶれていない証拠。体幹の強さを感じた。運気も呼び寄せているのだろう。

 渋野さんのソフトボールの映像も見せていただいた。私と同じ右投げ左打ち。投手としての論評は差し控えさせていただくとして(笑)、印象的だったのはきれいなスイング。バランスの良さが伝わってきた。多くのゴルファーのスイングを見てきて、岡本綾子さんを超えるフォームは知らない。岡本さんは一切の無駄をそぎ落としたような完璧なスイング。極端な話、酒に酔ってもぶれないというか、ソフトボールでもあれだけ、同じリズムで振れたらと何度思ったことか。渋野さんのスイングも美しい。芯の太さ、強さがあるからこそ、4日間最後まで同じショットを続けられる。

 もう一つは人間力。「優勝しちゃった」という談話からも、飾らない彼女の性格が伝わる。二十歳らしい二十歳。頂点に立ったら、後は落ちるだけと思われるかもしれないが、気にする必要はない。今まで通り伸び伸びと楽しめばいい。年齢は関係ない。長生きすればいい選手になるとは思わない。人と違うから勝てる。駄菓子の「タラタラしてんじゃね~よ」を口にしながらのプレー。あれは彼女なりのリラックス方法で、意識してやっているのではないか。考える力がある人は強い。私も自信がある。

 渋野さんのソフトボールへの思い入れを知り、大きなエネルギーをいただいた。代表チームへの合流を目指す上野はなおさらだろう。憧れの人だと公言され、うれしくないはずがない。渋野さんこそ女神。笑顔とともに最高のギフトをいただいたような気持ちだ。

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 宇津木 麗華(うつぎ・れいか)1963年6月1日生まれ。中国・北京市出身。元中国代表。88年来日、95年日本国籍取得。現役時代は内野手で日本代表の主砲、主将として活躍し、シドニー五輪銀メダル、アテネ五輪銅メダル。2003年に日立&ルネサス高崎(現ビックカメラ高崎)の選手兼任監督就任。04年に現役引退後は11年から15年まで代表監督を務め、12、14年の世界選手権優勝。16年11月、再び代表監督就任。群馬女子短大を聴講生として卒業。右投げ左打ち。

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