縦スラの精度に驚き 習得1カ月で三振量産の好右腕/注目の高校球児

西日本スポーツ

 九州の高校球児情報に精通したアマ野球ウオッチャー「トマスさん」が、丹念な取材でリストアップした好選手を紹介する「特命リポート」-。今回は長崎・大崎の田中駿佑(2年)をピックアップします。今村猛(現広島)ら好投手を育てた清水央彦監督の下、順調に成長中。決め球は縦のスライダーで「低めの変化球の切れで取る三振」にこだわる好右腕だ。

■投手・2年

 長崎県西海市にある大崎は、指導力に定評がある清水監督が昨春から指揮を執る。今村を擁して2009年の選抜大会を制した清峰で部長を務め、佐世保実を甲子園で指揮。大崎では「野球部で地域の活性化」を掲げて地元を盛り上げている。

 実績ある指導者の着任を父・貴英さんから聞き、野球部の門をたたいたのが田中だ。初めて練習を見たのは、令和初日の5月1日。西彼杵半島の西に浮かぶ大島にあり、佐世保港からフェリーで約20分、さらに車で約10分の同校に足を運んだ。

 ブルペンでは2年生エースの田中と1年生の坂本安司の両右腕が、生きのいい球を投げていた。今夏の長崎大会は準優勝した鎮西学院に惜しくも初戦で敗れたが、お盆休みに再訪。気になっていた田中の実戦での投球を見ることができた。

 17年夏に甲子園に出場した早稲田佐賀との練習試合で、9回を2安打1失点と好投。9三振を奪い、うち7個は得意の縦のスライダーでバットに空を切らせた。田中がこだわる「低めの変化球の切れで取る三振」を、実戦で量産してみせた。

 縦のスライダーは約1カ月前にマスターしたばかりで、その精度の高さには驚かされた。習得するため、5キロのダンベルを指3本で持ち上げる練習で指先の感覚を鍛えたという。さらに直球と同じ腕の振りから投げ込めるのも大きな強みだ。

 直球の最速は8月の練習試合で計測した135キロ。清水監督に「今村は真ん中でも打たれない球を投げていた」と聞き、その今村も高校時代に取り組んだ「丸太トレーニング」で下半身を強化。丸太を抱え、50メートルの坂道を40往復する過酷なメニューに取り組む。

 制球力向上のため、左手を閉じた横ぶれのないフォームを追求。1年後の球速は145キロを見据えるが、あくまで「スピードは追いかけない」と話す。さらに「気持ちで投球が上下するようでは勝てない」と淡々と投げる姿が印象的だった。

 感情をあまり表に出さずに投げる姿は、高校時代の今村に通じるが、清水監督は「まだまだですよ」と笑う。8月下旬の佐世保市長旗争奪新人大会で優勝するなど、チームも順調に力をつけている。指導者に恵まれた右腕の成長が楽しみだ。

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