「もう一度世界へ」MGC最年長36歳、中本健太郎が諦めない理由

西日本スポーツ 末継 智章

2度目の五輪出場に向けて練習する安川電機・中本 拡大

2度目の五輪出場に向けて練習する安川電機・中本

1964年東京五輪の組織委会長を務めた安川第五郎氏

 東京五輪のマラソン代表を決める注目のグランドチャンピオンシップ(MGC)の号砲は15日に鳴る。五輪とほぼ同じコースを走る男子31人、女子12人の中には、歴代のオリンピアン(五輪出場選手)の意思、会社や部の伝統を背負って走る選手も多い。レガシー(遺産)を受け継ぎ、新たな歴史を紡ごうとするランナーたちを紹介する。

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 1964年東京五輪にはある逸話が残っている。開会式前夜、雨空を憂えた大会組織委員会会長が誠心誠意、天に祈ると、翌日は雲一つない晴天になった。以来、会長は揮毫(きごう)を頼まれると、誠実な努力は天に通じ、願いはかなうという意の「至誠通天」と書いたという-。

 この会長こそ安川電機創業者の安川第五郎氏。同社陸上部の中本健太郎は入社時に「至誠通天」の逸話を耳にした。ロンドン五輪で6位入賞した翌年の2013年に20年東京開催が決定。「縁を感じた。東京五輪に出られたら会社も盛り上がる。五輪に対する思いの強い人が代表の座をつかむと思うので、誰よりも強く思って走りたい」と誓った。

 16年のリオデジャネイロ五輪も目指したが、同年3月のびわ湖毎日で8位に終わって出場を逃した。「故障を繰り返し、満足する状態で挑戦できずに悔しい思いをした。もう一度世界の舞台に立ちたかった」。17年2月の別府大分毎日で初優勝し、同年夏の世界選手権(ロンドン)に出場。トップレベルと戦う刺激を再び味わい、東京五輪への挑戦を決めた。

 若手を中心とした今大会の出場メンバーがトラックレースでスピードを磨いていた4月末、中本はポーランド・クラクフでフルマラソンに参戦。2時間11分34秒で2位に入った。その後もハーフマラソンを2度走るなどロードで調整し持ち味の粘り強い走りを磨く。

 12月で37歳を迎える中本がMGC出場選手では最年長。「体力面では過去の(五輪選考の)大会よりきついかもしれない」と認めながらも、自信はある。「精神的には充実した練習ができている。国内のレベルは一気に上がっているけど、経験と暑い中でのマラソン実績で勝負する」。一世一代の快走で新たな伝説を残す。 (末継智章)

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