ソフトバンクM12初点灯呼んだ千賀「試合に入るのやめた」

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆西武2-3ソフトバンク(12日・メットライフドーム)

 絶対エースがついに点灯させた!! 令和初のノーヒットノーラン達成から中5日。ともに優勝へのマジックナンバー(M)の点灯を懸けた大一番で、千賀滉大投手(26)が12球団最強の西武打線を8回1失点に抑えて今季13勝目をマーク。チームは一夜で首位に返り咲き、残り12試合ながら「M12」が今季初点灯した。昨季負け越した宿敵に今季13勝12敗と勝ち越した工藤ホークスが、2年ぶりのリーグ制覇へ加速する。

■3年連続13勝目

 千賀は達観していた。エースの真価を問われた0-0の7回。先頭源田に初の長打となる二塁打を浴びるなど、1死二、三塁のピンチを迎えた。内野は前進守備、先制だけは防ぎたい場面。三振を狙った。栗山にフォークを4球続けて空振り三振、外崎にも追い込んでからフォークで勝負すると一塁塁審がスイングをコール。メットライフドームに歓声と大きなため息が入り交じる中、背番号41は表情を変えずベンチに引き揚げた。

 今季最後の西武との対決は、いずれかに優勝マジックが点灯する大一番。にもかかわらず、千賀は「ある意味、試合に入るのをやめた。大事かどうかも考えずマウンドに上がった。自分のやるべきことだけを考えて」と恐ろしいほど落ち着き払っていた。

 球団史上76年ぶりのノーヒットノーランを達成した6日ロッテ戦で133球を投げながら、中5日での登板。それでも疲れを感じさせず4回までは“完全投球”でチームを引っ張った。

 意識を「無」にすることを選んだのは、前回対戦した8月30日の西武戦にさかのぼる。2ゲーム差をつけて臨んだ直接対決に「意識しないはずがない」と意気込んだが、状態は良かったものの2本のアーチを浴び7回4失点で黒星を喫した。「(試合に)入りすぎると『チャンスだ』とか『ピンチだ』とかいろいろ考えてしまう。(前回対戦は)集中力の波ができやすい状況だった」と振り返った。

 新境地に達してノーヒッターとなった千賀の活躍は、女子ソフトボール界のレジェンドの本能を呼び起こした。その2日後の8日、かつて合同自主トレをした上野由岐子(ビックカメラ高崎)がソフトボール日本リーグ女子でノーヒットノーランを成し遂げた。

 直後、共通の知人を通じ「千賀君がやったから刺激になった」とメッセージが届いた。4月に下顎を骨折した右腕の完全復活を印象づける快投。「やってやろうと思ってやれてしまうのは、僕なんかとは別次元」。千賀は敬意を深めた。

 敵地での天王山となった一戦で、8回1失点に抑え自己最多に並ぶ3年連続の13勝目を挙げた。チームも一夜にして首位に返り咲き、マジック「12」が初点灯。それでもなお、千賀は冷静だった。「まだまだ遠いなと思います。最後まで自分の役割を果たしたい」。ペナント奪還へ、エースに油断はない。 (鎌田真一郎)

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