ソフトバンク誤算だらけのV逸 主力のけが、ロッテに借金「9」…

西日本スポーツ 倉成 孝史

 ◆楽天4-2ソフトバンク(24日・楽天生命パーク宮城)

 2年連続V逸-。西武との球史に残るデッドヒートは、工藤公康監督(56)が総力戦で挑んだ今季141試合目で終わった。中4日先発のエース千賀が逆転2ランを浴びるなど楽天に屈し、ロッテに勝った西武にリーグ連覇を許した。10月5日からのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S)は本拠地ヤフオクドームでリーグ3位楽天と対戦。西武の待つファイナルSに勝ち進み、「下克上日本一」の昨季と同様にリベンジを果たす。

 あと2試合を残して、リーグV奪回の夢はついえた。3点を追う最終回。驚異の粘りで2点差まで迫ると、工藤監督は執念のタクトを振った。すでにベンチに捕手がいない中、高谷の打席で代打明石を起用。究極の采配に、明石は中前打で応えた。2死満塁。1打同点、長打なら逆転の状況をつくったが、牧原の打球は力ない中飛となった。

 敗戦から28分後、西武がロッテに勝利し2年連続のリーグVを決めた。7月9日時点で8・5ゲーム差をつけていた相手に大逆転を許し2年連続でのV逸。「負けたのは悔しいですけれども、ああいう9回の粘りは本当にみんなが何とかという思いが非常に出ていましたし。悔しいですけど…、勝たせてあげたかった」。工藤監督は悔しさを押し殺し、選手らの奮闘をたたえ、自らを責めた。

 リーグV奪回を果たした上での3年連続日本一を目指した今季だが、船出から道は険しかった。投手陣ではサファテ、岩崎と救援の柱2人に加えて、先発陣では和田、バンデンハークが故障や状態が上がらず開幕2軍スタート。打線では主力の中村晃が自律神経失調症のため開幕前に離脱した。盤石ではないスタートを切った中、さらなる衝撃が襲ったのは開幕直後だった。4月7日のロッテ戦で柳田が走塁中に左ひざ裏を負傷。当初は全治3週間と診断されたが、その後重症と判明し、結局約4カ月もの間「打線の柱」を欠いた。

 シーズン途中にも東浜が右肘手術を受けるなど、投打にこれ以上ないというほど多くの故障離脱者が出た。そんな「超危機的状況」を支えたのは、若手の台頭だった。投手では新人の甲斐野がセットアッパーとしてフル回転の活躍。その甲斐野、泉、高橋礼、椎野、高橋純と前半戦だけで5投手がプロ初勝利を挙げた。野手でも育成出身の周東がチームトップの盗塁数をマークするなど躍動した。

 工藤監督も「若手が台頭し、満身創痍(そうい)での全力プレーなど選手は精いっぱいやってくれた」と話したように、前半戦で貯金「16」をつくり、パでは21世紀最大差となる2位と7ゲーム差でシーズン折り返しを決めた。若手とベテランの融合がチームをVへと近づけたことは確かだが、皮肉なことに主力がケガから復帰し、特に野手陣がフルメンバーになってからもたついてしまった。

 8月19日に初めてVマジック点灯に王手をかけたが、同23日からのロッテ3連戦では同一カード3連敗を喫するなど足踏みを続け、西武の追い上げを許した。交流戦でも優勝を果たし、西武にも勝ち越したが、ロッテに8勝17敗と大きく負け越し「9」もの借金をつくったこともV逸の大きな要因の一つとなった。「日本一を目指して、最後の最後まで戦いたい」。2年連続の屈辱を味わったが、3年連続日本一の可能性があるかぎり、指揮官はファイティングポーズを崩さない。 (倉成孝史) 

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