王さん原監督を思う「あれこれ批判はされた。でも」

西日本スポーツ

侍ジャパンに選ばれた周東への期待を語るソフトバンクの王会長(撮影・伊東昌一郎) 拡大

侍ジャパンに選ばれた周東への期待を語るソフトバンクの王会長(撮影・伊東昌一郎)

日本代表に選出されたソフトバンクの周東佑京

 福岡ソフトバンクの王貞治球団会長(79)がプロ入りから約60年の白球人生を振り返るトークショーが10月2日、東京都千代田区の「よみうり大手町ホール」で行われた。巨人での現役時代をはじめ「世界の王」の栄光を目に焼き付けてきたフリーアナウンサーの徳光和夫さん(78)を相手に1時間以上、語り尽くした。(第5回/全5回)

 (4からつづく)

-ラグビーワールドカップ(W杯)も盛り上がっています。王さんは日本代表の活躍をご覧になっていますか。

 はい、見ていますよ。だんだん引き込まれていきますね。(競技について詳しく)知らないから余計に面白いのかもしれませんね。

-来夏には東京五輪が開かれます。野球の復活は朗報ですが、これを機に野球の魅力を子どもたちに伝えていきたいですね。

 みんな「いいプレー」を待ち望んでいると思うんですよ。残念ながら少子化などで野球をやる子が減っていますが、仲間もできる、ルールの大切さも学べる、体も強くなる。日本の人にとって野球は合っていると思います。大人たちが野球に触れさせることが大事。ちょうど五輪で野球が実施されることで盛り上がると思います。それを、ただ盛り上がっただけで終わらせたらいけない。子どもたちを熱中させるためには、まず触れさせないといけない。

 痛い思いもする、苦しい思いもする、みんなで涙を流すこともある。でも、仲間たちとの連帯感も生まれる。野球はおデブちゃんでもできるし(笑)、体が小さい子、足が遅い子もできる。日本の人には向いたスポーツ。残念ながら(2024年の)パリ大会では外れましたが、その後のロサンゼルス大会で競技が復帰するためにも東京大会は大事。

 僕がこんなことを言うと怒られるかもしれませんが、お父さん、お母さんがいつまでも付いてあげられるわけじゃないんですよね。お子さんも独立して大人になっていく。両親が先に手を差し伸べて何も体験させないのは、子どもたちにとっても良くない。転んでけがをすることは、普通に生きていてもある。もう少し子どもたちには自由にいろんなことをやる機会を持たせてほしいですね。

-日本代表を率いる稲葉篤紀監督にも期待がかかりますね。

 彼が監督に就任してからもいろいろ会っていますから。大変な立場だと思いますが、彼の熱意は選手に伝わっている。ましてや日本で開かれるオリンピック。選手は(意義を)分かっている。私も第1回WBCで監督をやらせていただいたが、日の丸が付くと日本の選手はものすごく力を発揮しますよ。だから、五輪はかなりいい日本の野球をやってくれると思いますよ。

-「プレミア12」にはソフトバンクから千賀滉大投手、甲斐拓也捕手らが選出されました。

 彼らは育成、それこそ(月給にして)10万円台という給料で入ってきたんですよ。それで先輩たちを見習いながらやってきて、育成から支配下選手になって、それでも最初は2軍ですよ。そこからまた頑張って1軍に登録されて…。

 そこで使ってもらって結果を残さないとまた2軍へということもあるんですが、彼らはそういうもらったチャンスをつかんでいった。彼らは「ジャパンドリーム」みたいなもの。ああいう活躍をする選手が若い人たちに夢を与える。彼らの生きざまを、野球をやっていない人が「自分も何かにチャレンジしてみよう」というふうに受けとめてくれたらいいなと。

-千賀投手は消えるようなフォークボールを覚え、甲斐捕手は素早いスローイングを身に付けました。やっぱりホークスのコーチ陣が素晴らしいんですか。

 うちの体制はいいと思いますよ。1軍、2軍、3軍とあって、設備も合宿所の横に練習場があって、室内の施設もある。自分がやりたいと思ったらいつでも練習できる。そういう施設があるのはうちの強み。他の11球団が見学に来ましたから。ましてや育成から入ってきた選手が頑張って活躍していますから。今まで横にいたやつが注目される立場になった。俺も頑張ればそこにいけるという気持ちになる。

 プロ野球って70点じゃ駄目なんですよ。90点ぐらいのものを一つ持っていないと。自分のセールスポイントを磨いて、それを発揮する。うちには周東(佑京)という足のスペシャリストがいる(場内:拍手)。彼は足だけで稲葉君に選ばれたからね(笑)。守りはともかく、打つのはそんなに大したことはないけれど、稲葉君もそこに期待はしていない(笑)。いざ、ここというところで必要な足を彼は持っている。ああ、周東を選んで良かったと稲葉君が思う活躍をしてくれると思いますよ。

-最後になりますが、今年の原巨人についてはどう見ていますか。日本シリーズでソフトバンクと対戦することも考えられますが。

 素晴らしかったですね。3度目の監督ということで。日本一にもなっているし、どういうことで自分にジャイアンツの監督のお鉢が回ってきたか、十分に理解していると思います。思い切って自分で考えた通りにやりましたね。あれこれ批判はされました。年寄りばっかり取ってどうするんだと。でも、監督の決意というか信念の強さがね、選手の力を引き出す。

 監督ってバントのサインを出すとか、そういうのが監督じゃないんですよ。選手のやる気を引き出す、戦場に向かわせるのが監督なんです。編成から全部監督が責任を持ってやって、原監督としては3度目の監督で本当に素晴らしい仕事をしました。チャレンジして結果を出したことは素晴らしいことです。

 (おわり)

   ◇   ◇   ◇

 トークショーは、読売新聞東京本社ビル内のギャラリーで11月22日(平日午前10時~午後6時)まで開催される特別巡回展示「王貞治展~栄光の軌跡~」を記念して行われた。ギャラリーでは幼少期から巨人、福岡ダイエー、福岡ソフトバンクの監督時代までを記録したグラフィックパネルや当時のユニホーム、記録達成時の記念バットなどを含む秘蔵品約50点が展示されている。観覧無料。

 なお、福岡市のヤフオクドーム内にあった「王貞治ベースボールミュージアム」は同ドーム敷地内に2020年春、開業予定の商業ビル「E・ZO FUKUOKA」内にリニューアルオープンするため、一時休館となっている。
 

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