2戦連続トライの福岡、プライド砕かれ飛躍 前HCは気に入らなかった

西日本スポーツ

 ◆ラグビーワールドカップ(W杯)1次リーグA組 日本38-19サモア(5日・豊田スタジアム)
 日本のエースがまたしても歓喜を運んだ。5日のサモア戦、福岡高出身のWTB福岡堅樹(27)が後半15分に途中出場。同35分に勝利を決定付ける3トライ目を奪った。負傷明けで逆転トライを決めたアイルランド戦に続く躍動で完全復活をアピール。「スピードを生かして、何かしらインパクトを残そうと思っていた。勝利はいったん置いて、とにかく次に集中したいと思う」。8強入りへの最終関門へと加速する。

 浄土真宗の書物にある想像上の樹木「好堅樹(こうけんじゅ)」。地中で何百年も力を蓄え、いったん地上に出ると1日で高さ百丈(約300メートル)の勢いで伸び続けるという。福岡は自身の名前の由来通り、その著しい成長の前に準備の時期があった。

 「(ラグビーを)やめたい」と思い悩んだ人生最大の挫折を味わったのが、4年前の宮崎代表合宿。当時の指揮官、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)=現イングランド監督=の猛練習に追い詰められた。何ごとにも根拠を求め、合理性や効率を追求する福岡。「練習の長さや強度を計算し、体力の配分を考えていた」。世界レベルで戦い抜くため、常に100パーセントの力を出しきる大切さを知るジョーンズHCにはそれが気に入らなかった。

 「グラウンドから出て行け!」。試合形式の練習で全力疾走しない姿にジョーンズHCの怒声が響いた。報道陣も見学者もいる前で、練習から追い出された。屈辱だった。子どもの頃から宿題を学校で済ませるようなタイプ。勉強もラグビーの練習も短時間に集中する-。それで成果を残してきた自負もあった。

 当時は代表入りの当落線上にいた。「本当にきつくて重圧もあって体もズタボロ。正直やめたいな、ここで逃げ出したら楽だろうなと頭に浮かんだ」。心が完全に折れそうな時、筑波大2年で初招集された時にジョーンズHCから「2019年にチームの中心として引っ張ってほしい」と掛けられた言葉が浮かんだ。

 「効率の良さだけでは足りない世界に気付かされた」。生まれて初めて死に物狂いに練習に取り組み、前回W杯の代表に生き残ったからこそ今がある。あれから4年。苦い教訓を生かして主力に成長。昨秋のイングランドとのテストマッチでは、敵将ジョーンズ監督から「ケンキ(堅樹)はいい選手になった」と絶賛された。イングランドは5日、一足先に決勝トーナメント進出を決めている。互いに勝ち進めば決勝トーナメントで対戦できる可能性もある。目標のその先へ。「堅樹」の成長が続く。 (大窪正一)

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