日本バスケ史上初の快挙 世界驚かせた3人制のシンデレラ

西日本スポーツ

快挙を達成した選手たち。左から馬瓜、山本、永田、西岡 拡大

快挙を達成した選手たち。左から馬瓜、山本、永田、西岡

中国から羽田空港に帰国し、到着出口で笑顔を見せる永田(右)

 「スリー・バイ・スリー」から「スリーエックススリー」の呼称に統一された3人制(3x3)バスケットボールのU23(23歳以下)ワールドカップ(W杯)で女子の日本代表が金字塔を打ち立てた。

 2日から6日まで中国で開催された大会で初優勝を飾ったもので、日本バスケットボール協会によると、男女の日本代表が国際バスケットボール連盟(FIBA)の公式大会で「世界一」になったのは全カテゴリー(5人制、3人制)で初という。メンバー4人の1人、フォワードの永田萌絵(東京医療保健大4年)=長崎商高出身=は今大会が国内外問わず3人制のデビュー戦だった。懸念された経験の浅さを感じさせない“スーパープレー”で金メダル獲得に貢献した。

 楕円(だえん)球の「W杯」で日本列島が沸き立つ中、籠球の「W杯」で新たな歴史が刻まれた。今月7日、中国での戦いを終えて夕暮れの羽田空港に降り立った永田の胸で金色のメダルが輝いていた。通行人の迷惑にならないようにと、空港ロビーの隅で静かに行われた代表チームの報告会&解散式。「世界一の称号をつかんだのは日本のバスケ史上初めて。君たちの頑張りは誇りだ」。日本バスケットボール協会幹部の熱いねぎらいの言葉に、タイトルの重みを改めて実感したのだろう。選手4人は一様にうなずいた。スタッフから贈られたお祝いの花束と拍手。円陣の輪は小さくても、温かい光景が広がった。

 3人制のキャリアは“ない”に等しい。初めて経験したのは代表候補の強化合宿に招集された今年3月末。「その次に立川(東京都)の合宿にも参加させていただきましたが、3人制に触れたのはその2回だけです」。今回代表に選ばれたのは大会の2週間ほど前だったという。東京医療保健大の主将を務めており、現在はリーグ戦の真っただ中。「大学の方に集中していたので、3人制の練習はほとんどしていません。プレーを合わせたのは試合前日でした」。サラリと打ち明けた。

 5人制より人数が少ない分、3人制は個々のプレーの重要度が増す。「スペースを使えるし、1対1でも勝負できる」と口にしながらも、やはり戸惑いはあったようだ。「ファウルの基準が違いました。5人制だったら(オフェンスのときに)ファウルをもらえる場面で、もらえず、フィニッシュを落とすことがありました。逆に私がディフェンスのときは、きれいに守りすぎて、相手にフィジカルで負けて得点されましたし、アジャストが難しかったです」。それでもメンタルとスキルの両面で切り替えて対応できるのが永田の最大の強みだ。「自分から相手の体にぶつかりにいってフィニッシュしたり、ちょっとレイアップ(シュート)のところで少し間を置いて打ったりしました」

 適応したのはプレーだけではない。3人制はスピーディーで激しい攻防を観客がより間近で満喫できる。「お客さんも多く、会場の雰囲気も含めてエキサイティングなんです。だから、お客さんを楽しませたいな、と」。ロシアとの決勝。永田はオフェンスで“世界”を驚かせた。ディフェンスの相手に背を向けた状態で、ボールを自分の背中側から逆方向へ移動させ、逆の手に持ち替える「ビハインド・ザ・バック」を使い、鋭いターンとともにそのままドライブ。不意を突かれた相手を置き去りにしてレイアップシュートを決めたのだ。しかも目線でパスを出すと見せかける動きも交ぜる周到さ。「(守る相手が多い)5人制では出さないプレーです。動画で参考にしていた米国代表の3人制の選手がいて、格好良いな、やってみたいなあと思って練習をしていたんです。その方のお名前は分かりませんが、男性の選手です!」。3人制のデビュー戦となった大会、しかも大舞台の大一番で披露したビッグプレー。さっそくFIBAの公式ツイッターに動画で紹介されるなど“シンデレラ級”の注目を集めた。大会トータルでは山本の39得点に次ぐ全体で5位の38得点を記録し、優勝に大きく貢献した。

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