工藤監督「鬼采配」で逆転勝利 日本S進出率は87%の超高確率

西日本スポーツ 倉成 孝史

西武との初戦に逆転勝利し、笑顔で引き揚げる工藤監督 拡大

西武との初戦に逆転勝利し、笑顔で引き揚げる工藤監督

8回2死一、三塁、左前に同点打を放ちガッツポーズする代打長谷川勇(撮影・伊東昌一郎) 8回2死一、三塁、西部・森の捕逸で生還した三走周東(23)を迎え、盛り上がるソフトバンクベンチ 過去のパ・リーグCSファイナルS成績 ホークスの打線組み換え

 ◆パ・リーグCSファイナルステージ第1戦西武4―8ソフトバンク(9日・メットライフドーム)

 レギュラーシーズン2位の福岡ソフトバンクの工藤公康監督(56)が「鬼采配」で勝利をもぎとった。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S)第1戦で、リーグ連覇の西武に8-4で逆転勝ち。3試合ぶりに先発起用した松田宣が初回の先制二塁打など4打点と爆発し、8回は「CS男」内川に送った代打長谷川勇の同点打から逆転に成功した。同じ2位から勝ち上がった昨季のファイナルSも初戦の勝利から西武を撃破。パ・リーグのファイナルSで初戦を制したチームの日本シリーズ進出率は87%の超高確率だ。

■周東Vホーム

 勝利のために鬼となった。1点を追う8回。工藤監督が非情な決断を下した。柳田とデスパイネの連打でつくった1死一、三塁の絶好機。ここで5番松田宣が3球三振に倒れると、背番号81は厳しい表情でベンチを出た。球審に告げたのは「代打長谷川勇」だった。

 楽天とのファーストSで2発を放ち、「CS男」の本領を発揮した内川への代打策。「本当に苦しい決断ではあった」と振り返る究極の勝負手は歓喜を呼んだ。平良に2球で追い込まれながら、5球目の155キロを捉えた打球は左前に落ちる執念の同点打となった。

 さらに2死一、三塁となり、デスパイネの代走に送っていた周東が森の捕逸で決勝のホームを踏んだ。9回には3点を追加。工藤監督の強い意思が決戦の流れを呼び込み、リーグ優勝チームに与えられるアドバンテージを含む勝敗は1勝1敗のタイとなった。

 「(内川は)今日ちょっとタイミングが合ってない感じはした。僕自身も後悔しないように思い切った。すいません」。心を鬼にした工藤監督は最後は謝罪の言葉も口にした。主力に故障者が続いた今季は137試合に出場。チームを支えた37歳を好機でベンチに下げるリスクは、痛いほど理解しているからだ。

 ただ、2年連続V逸の悔しさをポストシーズンで晴らすため、一切の情を排除する覚悟は固めている。「負けられない戦い、勝たなきゃいけない戦いが続きますので」。ファーストSでも初戦を落とすと、今季チームで唯一全試合出場を果たした松田宣をスタメンから外した。その「劇薬」も効き、チームは連勝でファーストSを突破した。

■「苦しい決断」

 ファイナルSでは、松田宣を「5番三塁」で3試合ぶりにスタメン起用。この「神采配」も的中した。初回にニールから先制の2点二塁打を放ち、9回も2点打で計4打点の大活躍。8回の代走周東も勝ち越し点に結びつき、高橋純や甲斐野らの救援陣も躍動した。

 「いい選手がたくさんいるので、結果を出さないと試合に出られない。明日からも死に物狂いでバットを振っていく」。36歳の松田宣が目の色を変えるほどの雰囲気をつくり出した工藤監督のタクト。短期決戦でさえ渡る選手起用で、2年連続の下克上を現実にする。 (倉成孝史)

PR

PR

注目のテーマ