ラグビーW杯 福岡は体が硬いから速い 「猫背」走法が生むスピード

西日本スポーツ 大窪 正一

台風19号が接近し雨が降る中、スコットランド戦に向け調整する(左から)流、福岡、ラファエレ、トンプソン(撮影・中村太一) 拡大

台風19号が接近し雨が降る中、スコットランド戦に向け調整する(左から)流、福岡、ラファエレ、トンプソン(撮影・中村太一)

今と同じ前傾姿勢で走る子どもの頃の福岡=父の綱二郎さん提供

 13日のスコットランド戦で今大会初先発する福岡高出身のWTB福岡堅樹(パナソニック)は、過去1勝10敗の難敵撃破のキーマンだ。ここまで途中出場で2試合連続トライ。50メートル5秒8の爆発的スピードを生み出す前傾姿勢の走法がトレードマークとなっている。

 背を少し丸め、深い前傾姿勢を保った重心の低い独特のフォーム。福岡県宗像市の玄海ジュニアラグビークラブでラグビーを始めた5歳から変わらない。前に進む推進力を得やすいのでトップスピードに乗りやすい。胸と膝が付きそうな前傾姿勢にはタックルに入られにくい利点もある。

 この「前傾走法」は福岡の身体的な特徴が生み出した偶然の産物だ。両膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂した高校時代にリハビリを担当した理学療法士の堀大輔さん(44)は全体的な体の硬さが印象に残っている。「当時は前屈で手が地面に届かなかった。股関節も硬くて曲がらないのが特徴だった」。そんなスポーツ選手にとって致命的と思える欠点が福岡にはプラスに働いた。

 「太もも裏も硬いから骨盤が後ろに傾き、後ろに傾くことで背骨が『猫背』になる。背骨と肋骨(ろっこつ)の関節もものすごく硬くて胸が反りにくいのも前傾姿勢になる要因」。リハビリのトレーニング中も常に猫背。矯正しても福岡は「こっち(猫背)の方が力が入る」と戻した。堀さんは「他の人だと力が入らない。スピードを出すにはある程度は(上体が)起き上がることも必要なのに」と不思議だった。

 常に前傾姿勢を取ることで、ふくらはぎの筋肉が発達しやすい。「リハビリのトレーニングでも太ももの筋肉はなかなか戻ってこなかったが、ふくらはぎの筋肉はすぐ戻った」と堀さん。ふくらはぎの筋力が蹴る力につながり、爆発的なスピードを生む。日本が世界に誇るスピードスターが誰もまねできない走法でスコットランドを翻弄(ほんろう)する。 (大窪正一)

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