福岡、日本史上初3戦連続T “因縁”の相手にお返し2T

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆ラグビーワールドカップ(W杯)1次リーグA組 日本28―21スコットランド(13日・日産スタジアム)

 ノーサイドを迎えると、WTB福岡は右手を突き上げ、地面に突っ伏した。いつも冷静なスピードスターから珍しく、感情があふれ出た。「本当に出しきった。本当にやりきった。そして、歴史を変えられた」。日本史上初の3試合連続トライ。それ以上に、チーム初の8強入りが誇らしかった。

 磨きをかけたスピード、培った技術…。真価を発揮した。14-7で迎えた前半終了間際。左サイドでCTBラファエレが敵陣で守備ラインの裏に蹴ったキックに反応し、一気に加速した。ゴロパントを拾うと、1人かわして左中間に飛び込んだ。勢いは止まらない。後半2分には接点で相手ボールをもぎ取り、そのまま独走。約40メートルを走りきり、この日2本目のトライを決めた。

 W杯前最後のテストマッチ、9月6日の南アフリカ戦で右ふくらはぎを負傷。開幕のロシア戦は欠場したが、アイルランド戦、サモア戦では途中出場でトライを決めた。それでも「自分自身の力で取ったトライはまだ全くないと思っている」と満足していなかったが、満を持しての今大会初先発で真骨頂の働きだ。

 劣勢の流れを引き戻したのも、福岡のランだ。0-7の前半17分、左サイドを抜け出した後、身を投げ出したオフロードパスでWTB松島へ。そのまま松島がトライを挙げ、ゴールも決まって同点とした。ジョセフHCが「フェラーリ」と表現する両翼のホットラインが機能。福岡は最後まで防御やハイボールの処理でも役割を果たした。

 2015年の前回W杯ではチームが唯一敗れたスコットランド戦のみの出場。屈辱の経験を歓喜につなげ、「15年は今、この時勝つためにあった」と感慨に浸った。

 今大会と7人制の東京五輪を区切りに引退し、医師を目指すと決めている。内科医だった祖父から言われた言葉を今も大切に胸に刻む。「才能を持って生まれてきた人間は、それを社会に還元する責任がある」-。その天賦の才で、日本に新たな歴史をもたらした。 (伊藤瀬里加)

PR

ラグビー アクセスランキング

PR

注目のテーマ