決断の裏側に工藤監督の「情」/西村龍次氏の目

西日本スポーツ

 ◆パ・リーグCSファイナルステージ第4戦 西武3―9ソフトバンク(13日・メットライフドーム)

 怒りや悔しさがパワーの源になることを、工藤監督は知っている。ファーストステージで楽天に王手をかけられてから松田宣を先発から2試合外した。苦しい決断だったはずだ。理由を伺うと、工藤監督は松田宣の実績や貢献度に敬意を表した上で、こう明かした。「素晴らしい選手だからこそ、もう一つ上を目指してほしい」。敵地での4連勝で日本シリーズ進出を決めた今、その言葉が印象に残っている。

 西武との初戦、一気に逆転につなげた終盤の攻撃ではファーストステージ突破の立役者となった内川に代打を送った。この采配にも同様の考えを感じた。2人のチームでの地位は確立されており、プレーヤーとしての名声は得ている。けれども、下り坂は必ず訪れる。現状維持は後退と同じだ。寄る年波にあらがい、選手寿命を伸ばすために最も必要な反骨心。50歳近くまで現役を続けた工藤監督が、37歳の内川と36歳の松田宣に対するメッセージだった気がする。だから、私は非情だとは捉えていない。

 一本芯が通った工藤監督の采配は、結果的に用兵の的中にもつながり、流れを最後まで西武に渡さなかった。巨人と日本シリーズを戦うのは、意外にも2000年以来だという。付け加えると、13日は私と同学年でダイエー時代にチームメートだった故藤井将雄投手の命日でもあった。彼も、きっと天国で喜んでいることだろう。ホークスにとって、素晴らしい一日となった。 (西日本スポーツ評論家)

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