WTB福岡、「文武両道」悩む子に希望 医師目指しネット授業受け競技も

西日本スポーツ

 ◆ラグビーワールドカップ(W杯)準々決勝 日本3―26南アフリカ(20日・味スタ)

 強く速い相手の防御を崩せない。4年前には出場できなかった南アフリカ戦。自身にとっては雪辱の舞台で福岡高出身のWTB福岡堅樹(27)が持ち味のスピードを生かして好機こそ演出したが、4試合連続のトライは奪えず、快進撃は幕を閉じた。

 現役引退後、福岡は医師を目指す。一度は「けんか別れ」した小中学校時代に通った塾の恩師も異色の歩みを支えている。福岡は小学5年の3学期から中学卒業まで学習塾「英進館」(福岡市)に通った。中学3年時に塾で担任役だったのが、現在は天神本館高等部本部の神田岳彦課長(49)だ。「中学の陸上部とラグビー(玄海ジュニアラグビークラブ)を掛け持ち。ラグビーの福岡選抜で県外遠征などもあり、確保できる勉強時間は少なかったがオンとオフの切り替えがうまかった」と振り返る。

 高校受験日の直前、高揚していつもの冷静さがない福岡は神田課長に厳しく注意されて憤慨。母のぶさん(55)は「理不尽に怒られたと感じたようで、合格後の報告に行かず疎遠になった」と明かす。後味の悪い終わり方が心残りだった神田課長は、前回のW杯後にのぶさんを通じて連絡を取り「和解」。医学部受験のサポートを申し出た。

 福岡高3年時の医学部受験に失敗すると1年間の浪人後、筑波大情報学群に進学。ラグビーをやり切ってから医師の道を本格的に目指す考えだ。現在の拠点は所属のパナソニックがある群馬ながら、大学卒業後の2016年4月に「英進館生」に戻った。神田課長と連絡を取り合い、大学医学部受験に備えたインターネット授業を受けながら競技に打ち込んでいる。

 同年夏は7人制ラグビーの日本代表としてリオデジャネイロ五輪に出場し4位入賞に貢献する一方、現地に勉強道具も持参。「(現地の)ネット環境が悪くて受講できない」と連絡を受けた神田課長は向学心に驚いた。6月の日本代表の宮崎合宿にも勉強道具を持ち込んだが、「さすがに余裕がない」と練習に集中して励んだ。

 日本では異例ともいえるトップアスリートから医師への挑戦。神田課長はスコットランド戦後にLINE(ライン)で連絡を取り合い、「(決勝までの)あと3試合頑張れ!と伝えたら、『頑張ります』と勝つ自信に満ちていた。彼は両立に悩む子どもたちに勇気と希望を与えている」とエールを送ったが、4強はならなかった。今大会、日本の挑戦は終わったが、福岡の挑戦に終わりはない。 (大窪正一)

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