王会長、長嶋さんに「逃げられちゃったな」から…巨人に勝って24年目の悲願成就

西日本スポーツ

 ◆SMBC日本シリーズ2019第4戦 巨人3-4ソフトバンク(23日・東京ドーム)

 福岡移転30周年を迎えた節目の年に、ソフトバンクが巨人に勝って日本一になった。平成最初の日本シリーズを制した巨人と、平成最多7度の日本一となったソフトバンク。盟主交代をさらに印象づけた令和初のシリーズを終え、王会長は柔らかな表情で孫オーナーと握手を交わし、宙を舞う工藤監督を見守った。

 「やはり、他のチームがどうのってことじゃないんだけど、ジャイアンツとやると盛り上がるね。ジャイアンツに勝って日本一になりたいというのはうちだけじゃなくて、パ・リーグ6球団が思っていること。念願がかなったっていう、その一言だね。ましてストレートで完璧な形だから。もう何も言うことないね」

 プロでは巨人のユニホームしか着ていなかった王会長がダイエーの監督に就任したのは1995年。「球界の寝業師」と呼ばれた当時の監督で専務の故根本陸夫氏が、長嶋監督率いる巨人との日本シリーズを実現させるために招聘(しょうへい)した。なかなか首を縦に振らない王会長を根本氏は「巨人を倒して、日本一になるチームをつくろう」と説得。うなずき合った2人の夢が実現する機会は2000年に訪れた。

 にこやかに「ワンちゃん(王監督)といい試合ができれば」と繰り返す長嶋監督。その笑顔を打ち消すように王監督は「やるからには勝つ」と闘志を前面に出した。幸先よく敵地で2連勝を飾ったが、前代未聞の変則日程に泣かされる。当時の球団幹部がシリーズ期間中に本拠地を医療学会に貸し出すことを決めており、移動日なしで臨んだ第3戦で初黒星。2日休んだ後の第4戦からまさかの3連敗を喫し、悲願は消えた。

 永遠の盟友、長嶋監督率いる古巣巨人を倒しての日本一。千載一遇のチャンスを逃した王監督は悔しさをかみ殺した。長嶋監督の胴上げはベンチ裏のテレビでちらっと見ただけ。「どうしても勝ちたかった。新たな目標ができた」と再戦を熱望したが、翌01年限りで長嶋監督は勇退した。「逃げられちゃったな」。王監督は冗談とも本気ともとれない声を漏らした。

 あれから19年。王監督はユニホームを脱ぎ、会長となった。ON対決当時は選手だった秋山が後継監督となり、当時ダイエーから巨人に移籍して1年目だった工藤がその後を継いだ。今年の巨人は6年ぶりのシリーズ出場。もがき苦しむ盟主を倒したのが自ら招いた工藤監督だったのは、ONの流れが脈々と受け継がれている証しといえる。

 悲願なった王会長は柔和な表情から一転、勝負師の顔で言う。「これがゴールじゃない。来年の戦いはスタートするわけだから。今年以上に中身の濃い…2020年、ちょうどオリンピックの年だけど、そういう年にしたいよね」。濁した言葉が意味するのは巨人を超えるV10かもしれない。

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