なでしこ高倉監督「選手の個性をつぶすのがすごく嫌」南アと親善試合前単独インタビュー

西日本スポーツ 末継 智章

 11月10日にミクニワールドスタジアム北九州(北九州市)で南アフリカとの国際親善試合を行うサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の高倉麻子監督(51)が本紙の単独インタビューで、来年の東京五輪に向けたチームの強化方針などを語った。ワールドカップ(W杯)を制した8年前と同じく日本独自のスタイルで女王奪還を目指す方針で、「世界的な選手になれる素質がある」とする同市出身のMF杉田妃和(22)=INAC神戸=にはさらなる進化を求めた。 (聞き手・構成=末継智章)

■成熟度を高める重要なゲームに

 -北九州市での南アフリカ戦の狙いは。

 「東京五輪まで時間があまりない。チームの成熟度を高めるのに重要な試合になる」

 -具体的に目指す戦いが既にある。

 「戦術に縛られず、個人の創造性や技術を重んじている。今は欧州も米国もシステマチックで、速いFWを前線に3人置いて4-3-3の布陣にして1対1やクロスで勝負させることが多い。私は規律を求めすぎて、選手の個性をつぶすのがすごく嫌。何かをやっちゃだめとは言わない。選択するのは選手だから」

 -個性を尊重する考えは現役時代の影響が大きい。

 「当時、ネルシーニョ監督(現J2柏監督)が率いるヴェルディ川崎は個人の動きが自由で、その強さで勝っていた。(現J2東京Vゼネラルマネジャーの)夫がG大阪で仕事をしたときに監督だった早野宏史さんや西野朗さんのチームづくりも見ていた」

 -優勝した8年前のW杯はパワーとスピード重視の潮流にパスサッカーで対抗した。

 「当時は日本が新しいサッカーの流れをもたらした。世界の多くのチームがやっているものとは違うやり方でもう一度世界一になるのが、私たちの挑戦だと思う」

■W杯16強敗退も「成長している」

 -6月のW杯はベスト16で敗退。若手中心のチームだった。

 「悔しい思いをしたことで選手の自覚を感じるようになった。クロスボールからやられていた守備を修正し、(4-0で快勝した)6日の国際親善試合カナダ戦(IAIスタジアム日本平)ではバランスの良い戦いができた。選手は成長している」

 -若手で言えば、監督は22歳の杉田を育成年代から見守ってきた。

 「(杉田)妃和は左利きで独特なボールタッチをするし、体が強くけがせずに運動量も多い。世界的な選手になれる素質はある。しかし、簡単なミスが多いし、展開を読む力や試合をコントロールする力はまだまだ上がるはずだ。まあまあの選手で終わらず、日本を勝たせられる選手になってほしい」

 -五輪代表は1チーム18人。今後どう絞る。

 「最終的にはコンディションの良い選手になるが、2、3カ所のポジションでプレーできる選手が必要だと思うし、センターFWやセンターバックといったスペシャリストも必要。年明けから計画を立てる」

 -大分県日田市にゆかりがある。

 「父の故郷で、祖父は私が生まれてすぐに亡くなったけど、祖母は1、2年前に100歳近くで亡くなるまで元気だった。日本代表監督になる少し前に一人で遊びに行き、山道を散歩した。田舎のほのぼのした雰囲気で父が育ったんだなあ、と心静かに過ごせた」

   ◇    ◇

昨年福岡と対談刺激受ける

 高倉監督は、ラグビーワールドカップで活躍した福岡県古賀市出身の日本代表福岡堅樹と接点があった。

 昨年末に新聞社の企画で対談。「医者になると聞いていたので『今度、けがしたら診てね』とか軽口をたたいたら、あの大活躍で…。もうちょっと仲良くなっておけば良かったかな」と笑った。

 初のベスト8に進出したラグビー日本代表に刺激を受けた。「ワンチームという言葉通り、日本のために戦うという強い思いがグラウンドから伝わってきた。細やかに丁寧な技術や俊敏性の高さ、試合を読む力は私たちが目指すものと似た面がある」とし「私たちもサッカーの力を知らしめていきたい」と勇気をもらったという。

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