首里城炎上の日に…嘉弥真「ショック」乗り越え故郷で侍デビュー

西日本スポーツ 松田 達也

 ◆侍ジャパン強化試合第1戦 日本5-6カナダ(31日・沖縄セルラースタジアム那覇)

 悲しみに沈んだ故郷で快投し、大声援を受けた。侍ジャパン初選出で沖縄県出身の嘉弥真新也投手(29)=福岡ソフトバンク=が31日、那覇市でのカナダとの強化試合で代表初登板。1回を3人で抑えた。この日、沖縄の象徴・首里城が火災に遭い、正殿などが全焼。嘉弥真自身もショックを受けた中、しっかり結果を出した。試合は日本が5-6で敗れたが、高橋が2回を無失点に抑え、周東も侍初盗塁を決めるなど、ホークス勢が光った。

 指笛が鳴り響いた。2点ビハインドの8回、嘉弥真がマウンドに向かうと、この試合で最も大きな拍手が起きた。「こんなに声援がもらえるなんてうれしかった」。故郷沖縄のマウンドで代表デビューを飾り、1イニングを無安打、2奪三振で無失点に封じると、さらなる大歓声に包まれた。

 「左キラー」の役割をしっかり果たした。先頭の左打者のパナスから内角高めの真っすぐで空振り三振を奪い、2死から左の代打ヤージーも外角高めの真っすぐで空振り三振。それでも自己評価は「スライダーは良かった。真っすぐは抜けているかな」だった。

 試合前、世界遺産の首里城の火災を知った。「朝、起きて(映像を見て)何だ、これはと。ショックでした…」。石垣市出身だが「修学旅行でも行ったし、社会人(那覇市のビッグ開発ベースボールクラブ)時代にも行った」。夜の侍デビュー戦を控えて落ち着かない時間を過ごした。それでも自らと同じように地元の象徴の火災に心を痛めている沖縄のファンを、その投球で勇気づけた。

 今季は5月21、22日の西武戦が、沖縄で開催された。家族や知人らを招待して晴れ姿を見せるはずが、21日に1/3イニングで2失点。それでも追加招集で代表に加わり、巡るはずのなかった沖縄での登板で、名誉挽回に成功した。

 「プレミア12」開幕を控え、投手陣は先発、中継ぎともに整備を進めている。その中で貴重な左腕が存分に持ち味を発揮。稲葉監督も「地元の大声援の中で緊張感もあっただろうけど、冷静に持ち味を出してくれた」と高く評価した。

 「しっかり調整して大会に臨みたい」。身長172センチの小柄なサウスポーが「プレミア12」でも世界相手の快投で沖縄を沸かせることを誓った。 (松田達也)

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