区間賞の旭化成・大六野 五輪最終枠の望みつないだまさかの理由

西日本スポーツ 末継 智章

 ◆九州実業団毎日駅伝(4日・本城陸上競技場発着、7区間80・2キロ)

 旭化成Aが3時間52分24秒で制し、旭化成勢として2年連続45回目の優勝を飾った。最終7区(16・0キロ)で区間賞の快走を見せてゴールテープを切った大六野秀畝は、初マラソンだった2月の別府大分毎日マラソンで右足を痛めた影響で、約7カ月実戦から遠ざかり、今回が復帰3戦目だった。東京五輪マラソン代表の残り1枠を懸けて出場を予定する来年3月の東京マラソンに出場に向けて弾みのつくレースとなった。

 大六野は昨年の日本選手権男子1万メートルで優勝したスピードランナー。マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権獲得を目指した別府大分毎日マラソンでは、旭化成勢がMGC出場権を取れていなかったこともあり注目を集めた。しかし左足にマメができた影響から30キロ手前で先頭集団から離され、33・5キロ付近では立ち止まった。結局トップから約13分遅れの2時間21分47秒でゴール。37位だった。

 10キロ以上も左足をかばって走った影響で右足の裏や脛骨(けいこつ)付近に痛みが出た。それでも根性で完走したと思いきや「初マラソンだったので、正直やめ方が分からなかった。それで歩いたり走ったりを繰り返していた」と打ち明ける。

 理由はともかく、完走したおかげで大六野は東京五輪出場の希望が首の皮一枚つながった。東京五輪マラソン代表の残り1枠を懸けた争い「MGCファイナルチャレンジ」に参戦するには、MGC出場権を懸けた2017年夏~19年春の国内指定レースに出て完走するか、ワイルドカード(国際陸連公認レースを2時間8分30秒以内で走るか、2レースの平均が2時間11分以内で走る)でMGC出場資格を持つのが前提条件だからだ。ところが、大六野はこの条件を「別大を走っていたときは知らなかった」というのだ。たまたま棄権しなかったため、事なきを得た。

 無理に完走した代償は高く、かばった右足の痛みは引かずに「競技人生の中で一番(離脱が)長くて、結構つらくきつい思いをした」と振り返る。MGCも悔しすぎて見ることができなかった。それでも9月下旬の日体大長距離競技会1万メートルで復帰。今回の区間賞で「やっと戻ってきた感じがあり、ひと安心した。今思うと、別大を完走したのはギリギリ良かったのかな」と前を向けた。

 「ファイナルチャレンジ」は国内3レース(12月の福岡国際、3月の東京とびわ湖毎日)のいずれかで日本陸連が定めた派遣設定記録2時間5分49秒を切ったランナーのうち、最速タイムを出した選手に代表の切符を与える。大六野はチームメートの村山謙太とともに東京での記録突破を目指す。「別大で完走して本当に良かったと思えるようにしたい」と残り少ないチャンスをつかむため、4カ月後の大一番へ状態を上げていく。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーから「完走したから得られるものがある。つらくても走りきった彼の今後に期待したい」とエールを送られた26歳の巻き返しに注目だ。(末継智章)

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