旭化成が原点回帰で“ノーベル賞級”圧勝 ニューイヤー駅伝へ弾み

西日本スポーツ 末継 智章

 ◆九州実業団毎日駅伝(4日・北九州市本城陸上競技場発着=7区間80・2キロ)

 旭化成Aが3時間52分24秒で制し、旭化成勢として2年連続45回目の優勝を飾った。旭化成名誉フェローの吉野彰氏が今年のノーベル化学賞に続く朗報。4連覇が懸かる来年元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)、残り1枠となった東京五輪マラソン代表争いへ弾みをつけた。オープン参加を除く上位8チームがニューイヤー駅伝に出場する。

 アンカーの大六野秀畝が余裕のピースサインでゴールテープを切った。旭化成Aは一時は4位まで後退も、5区以降の3人が新コースになった昨年の区間記録を上回り区間賞をマーク。終われば2位と3分5秒差の完勝だった。大六野は「前の人たちが頑張ってくれたおかげで最後は楽に走れた」と汗をぬぐった。

 4区を終えた時点でトップの九電工と55秒差の4位。連覇に黄信号がともり始めた危機を救ったのが5区の市田孝だ。「どの順位で来ても先頭に立つ気持ちでいた」と序盤から軽快に飛ばし、3キロまでに2位へ浮上。トップと6秒差で6区の佐々木悟へ渡すと、1キロ付近で先頭に立ってからは独走態勢を築いた。

 ニューイヤー駅伝で3連覇中の旭化成も、9月に行われた東京五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)には一人も出場すらできなかった。「細かい練習の積み重ねが足りず、脚の筋力が落ちていた」と反省した西政幸監督はお家芸復活のため、宗茂、猛兄弟各氏や森下広一氏ら歴代の五輪マラソン代表も行った朝の山登りを推奨した。毎週木曜に宮崎県延岡市の練習グラウンド近くにある愛宕山(標高251メートル)を登る。以前は佐々木だけだった参加者は徐々に増え、粘りの走りにつながった。

 チームをさらに活気づけたのが10月の朗報だった。吉野氏のノーベル化学賞受賞が決まると、西監督は選手たちに「旭化成のブランドというか、もう一度存在感を示そう」と奮起を促した。佐々木は「今までは目標設定も甘かった。個々が自分の目標に向かってしっかりと練習を組み立てるようになった」と変化を実感する。

 五輪マラソン代表の最後の1枠を目指し、市田孝は12月の福岡国際に、大六野と今回補欠に回った村山謙太は来年3月の東京にそれぞれ出場する。市田孝は「ここが終わりじゃない。もっと力を上げていく」と五輪切符に必要な2時間5分49秒切りとニューイヤー駅伝4連覇を誓った。ノーベル賞に負けない輝きを取り戻そうとする陸上部の逆襲が始まった。 (末継智章)

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