侍救った周東の大仕事 指揮官がほれ込んだ28人目の男のスピード

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆プレミア12 2次ラウンド 日本3-2オーストラリア(11日・ZOZOマリンスタジアム)

 タカの快足が侍ジャパンを救った-。国際大会「プレミア12」の2次ラウンドが開幕し、1次ラウンドB組で3戦全勝の野球日本代表「侍ジャパン」はオーストラリアと対戦し、3-2で逆転勝ちした。1点を追う7回、代走の周東佑京外野手(23)が二盗、三盗を決め、2死から源田のセーフティーバントをつかんだ相手投手のタッチをかいくぐり、同点のホームに滑り込んだ。勢いに乗った侍ジャパン打線は8回に勝ち越し。貴重な1勝をつかんだ。

■7回に代走で出場

 二盗、三盗、ホームへ周東! その仕事っぷりは、侍というよりも忍者だ。7回の同点劇は、代走で登場した周東の独壇場だった。2死三塁となった直後、源田はセーフティーバントを繰り出す。ゴロをつかんだ投手のタッチを周東があっさりかいくぐった。スライディングでホームを陥れ、両手を広げ、立ち上がると、何食わぬ顔でベンチに戻っていた。

 「源田さんなら内野安打もあると思ったけど(バントは)正直、ビックリした。(投手の)タッチはかわせると思った」

 7回、先頭で中前打を放った吉田正に代わりグラウンドに姿を現した。警戒されながら、浅村の5球目に二盗。松田宣が三振に倒れ2死になってから、三盗成功の確信を得た。右投手で左打者。“非常識”な状況でもアクセルを踏む覚悟があった。「(源田の)初球で行けると思って『行かしてくれ』シグナルを出した。絶対、セーフになると思った」。3球目でスタートを切ると悠々、三塁を陥れる。相手を揺さぶり、次の投球で同点に追い付いた。今大会4試合で3盗塁3得点。指揮官の狙い通りの働きだ。

 支配下登録1年目で20安打ながら25盗塁、39得点を挙げ、自信もつかみかけたが、最後に落とし穴があった。日本一を決めた日本シリーズ第4戦。1点リードの9回1死一塁の場面に代走で登場。二盗のスタートを切ったが、自制した。戻るタイミングが遅れて捕手のけん制でアウトに。「初めて足が動かないと思って止まった。最後の最後であんなことになるとは」。歓喜の輪の中、足にもスランプがあることを痛感した。

■4戦3盗塁3得点

 侍ジャパンに合流し、すぐ38連続盗塁成功の日本記録を打ち立てた山田哲に極意を聞いた。目いっぱいリードを取る周東に対し、山田哲のリードは控えめ。「帰塁の感覚は体に染みついているから、『戻ることを考えない』と言っていた。僕にはまだその感覚が分からないけど、いろんなやり方があることを知ることは大事」。今なお、最大の武器をさらに鋭利な刀へと磨き続ける。

 周東の足が攻撃の“スイッチ”になり、8回に勝ち越して逆転勝利。1次ラウンドから無傷の4連勝となった。「僕が出るときの失敗は勝ち負けに直結する。失敗はできない」。足で生きる仕事人は、成功だけを求めていく。 (鎌田真一郎)

   ◇    ◇

 稲葉監督(周東について)「7回で同点に追いつこうと思って、準備してもらっていた。あの投手から二盗は難しかったが、三盗はモーションが大きくていけるぞ、と。揺さぶりをかける意味で大きな盗塁だった」

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