松岡修造が斬るオリンピアンの心の裏側 重圧弱い渡辺、恋が力の坂井

西日本スポーツ 末継 智章

 キーワードは「待ってろ東京」!! 2020年東京五輪で日本代表選手団の公式応援団長を務める元プロテニス選手の松岡修造さん(52)がこのほど福岡市内で本紙の単独インタビューに応じた。熱血応援の“原点”となった柳川高(福岡県柳川市)2年時の思い出を語ったほか、スポーツキャスターとして取材し続ける五輪を目指す選手たちに前向きになるよう呼びかけ、国民全体にも熱いメッセージを送った。 (聞き手・構成=末継智章)

■選手の生の声を聞き一番伝わる言葉を考えて応援している 

 -日本オリンピック委員会(JOC)の「がんばれ!ニッポン!全員団結プロジェクト」で日本代表選手団の公式応援団長として全国を巡回している。

 「全員団結の意味ですが、僕は東京五輪だけど日本全国で参加する五輪だと思っています。見る側にとっても一生に一度のことですから。だからこそ日本全体で応援したい。プレーヤーやボランティアとしてだけではなく、応援という形でも参加できるのです」

 -13日には柳川高で後輩相手にイベントを行った。松岡さん自身、柳川高2年のときに応援の力の大きさを知った。

 「全国高校総体の団体戦決勝で重圧を感じ、試合中にけいれんが起きた。その中でチームのみんなが応援してくれ、勝利に結びつけた。一人だと最後まで戦えなかった。応援の力を初めて感じた瞬間でした」

 -公式応援団長として心がけていることは。

 「選手の邪魔になる応援はしない。その上でみんなと一緒に思いを込める応援と、具体的に声をかけて伝えられる応援がある。僕はアスリートにインタビューができ、選手が何を大事にしているのか知っている。どんな言葉をかければ一番伝えられるかを考えて応援しています」

■柳川高後輩坂井はラブが前向きな泳ぎとして出る 

 -最近は「待ってろ東京」という言葉をよく使っている。

 「前向きな言葉で挑んでほしいので。なぜなら『まだ五輪が来てほしくない』という選手のコメントが多い。やっぱり怖いんですよ。まだそこまでの覚悟ができていない。『待ってろ東京』という考えが見えたのは(競泳の)瀬戸大也さん(ANA)。彼はリオデジャネイロ五輪金メダルを取れず、自分の甘さに気付いて覚悟を決めて練習した。何をすればタイムが出るか、自分と対話して見えたのが大きい」

 -競泳男子200メートル平泳ぎの渡辺一平(トヨタ自動車)=大分県津久見市出身=も前向きだ。

 「ひと言で言えば重圧に弱い人だと思う。だからこそ(前向きな言葉を)自分自身に言う。それが彼の人間らしさという気がする。今夏の世界選手権前にも『五輪をぶっちぎりで勝ちたいからこそ、世界水泳で金メダルを取りたい』と言っていたが、結果的には金メダルを取ることができなかった。そこで彼はいろいろ気付いた。来年は東京で行われる。どういう準備をすれば自分の力以上のものが出せるか。彼は前向きに捉えられると思う。彼が金を取れると言っているのだから、僕も信じている」

 -柳川高の後輩でリオデジャネイロ五輪の男子200メートルバタフライ銀メダルの坂井聖人(セイコー)も復活を目指す。

 「以前、イベントでお会いし、お話を聞いたときに、急に『やっぱり恋をしないとだめだ。リオの時は恋していました。僕は恋すればメダルはいけます』と言い出した(笑)。でもそれは一つの捉え方でいいな、と。彼の場合はラブが前向きな泳ぎとして出るんでしょうね」

■魔物は自分の中にいる内村もそうだった一人も出てほしくない

 -自分を知ることが大事。

 「東京五輪には魔物が一人も出てほしくない。今まで取材した中で、魔物は100パーセント、自分自身にいた。内村さん(体操の内村航平)もそうでした」

 -だからこそ選手を支える応援が大事になる。

 「選手にとって重圧になるものではなく、後押しになるような応援であってほしい。声をかける必要はなく、頑張れという思いで十分です。レスリング女子の浜口京子さんは言っていました。アテネ五輪でテレビカメラを見たとき、日本の皆さんの思いをものすごく感じてきた、と。一緒に戦えるような応援が、全員団結として目指すところです」

 -東京五輪の代表選考が本格化している。

 「一番つらいのはぎりぎりで五輪に出られない人。すべてを犠牲にして人生を懸けている人たちですから。そういう人がいることを五輪選手は受け止めるべきだし、僕らも知ることによって、より応援の力につながっていく気がします」

■面白さ気付けた7人制ラグビー

 注目競技については「興味がない競技はない」と前置きした上で「こんなに面白かったんだと気付けた」として7人制ラグビーを挙げた。リオデジャネイロ五輪で観戦し「すぐ点が入り、分かりやすく燃えやすい。ハプニングが起きる可能性も感じ、見ている方も楽しいと思えた」と推す。また、練習を取材したカヌー男子カナディアンシングルの羽根田卓也(ミキハウス)も推薦。予測不可能な波に対して「羽根田さんは『どれだけ一緒にダンスができるか』って言い方をした。『この面白さが伝わらないことが一番悔しい』、と。その話を聞いてものすごく面白くなった」と楽しみにしていた。

PR

スポーツ アクセスランキング

PR

注目のテーマ