内川「高校以来」足上げない打法で勝負 20年目の原点回帰

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 福岡ソフトバンクの内川聖一内野手(37)が、20年目を迎える来季、高校時代以来という「すり足打法」で勝負をかける。新調した2種類のバットに「仕事」をしてもらうため、よりシンプルな打撃フォームを求める中で行き着いた。獲得間近のバレンティンも加われば、さらにレギュラー争いが激化する中、原点回帰で定位置を確保する。7日は2014年オフから続ける東日本大震災からの復興支援のため、福島で中学生への野球指導などを行った。

■新調バット生かす

 難攻不落の名城とうたわれる若松城(鶴ケ城)=福島県会津若松市=の天守閣から、雪化粧された山々を目にした内川の心は浄化されていった。「透き通って、ピンと張り詰めた空気が心を落ち着かせてくれる。いつまででも、見ていられる」。オフも休むことなく体を動かし続けているベテランは、年に1度の福島訪問で心身をともにリセットした。

 左足を上げてタイミングを取る打撃フォームで、19年間に2171本もの安打を積み上げてきたが、このオフも頭の中では来季に向けた打撃のイメージが絶えず駆け巡っている。あまたある引き出しの中から引っ張り出したのが、左足を地に着けたままスライドさせてタイミングを取る「すり足打法」だ。構えた時点で、左足のかかとだけを浮かして右脚にためをつくり、上下動を最小限に抑えてバットを振り抜く形だ。

 「今年は右脚に体重を乗せようと思いすぎて、ためてからの始動が遅れたり、逆に早かったりとずれることがあった。『よーい』の部分を省いて、よりシンプルにしようと思う。こんな打ち方をするのは高校時代以来じゃないかな」

 ずれが生じたのも「股関節が弱っていた」と体の変化も把握する。その課題克服のために、個人トレーナーとともに弱っている箇所の強化も行っているが、まずは結果が出る可能性が高い打撃フォームへの変更を選んだ。

 ヘッドを手元に近づけ、操作性を高めた2種類のバットを新たに発注したのも、力を伝えるために体を正しい順番で動かしてスイングする意識を高める狙いがある。

 7日に訪れた会津若松市では、中学選抜チームに向けアドバイスを送った。「不安や緊張はある。不安や緊張を感じる自分を受け入れた上で、その中でパフォーマンスを発揮できるように取り組まないといけない」。自身にも語りかけていたのかもしれない。

 ヤクルトから自由契約となったシーズン60本塁打の日本記録ホルダーであるバレンティンの入団は秒読み段階。入団となれば、例年以上にレギュラー争いが激しくなるのは間違いない。それでも「駄目なら出られないし、良ければ出られる。もし駄目だとしても、その時に自分が納得できるようにオフ、キャンプ、オープン戦とやっていくだけ」。静かに、ただ心の奥底では熱いものをたぎらせ20年目の戦いに挑む。 (鎌田真一郎)

「復興に何ができるか… 忘れないことが大事」

 内川が東日本大震災からの福島の回復状況を伝え、環境に関する調査・研究なども行う総合拠点施設「福島県環境創造センター」を訪れた。震災で事故が起こった福島第1原発の模型や、360度天球型シアターを食い入るように見つめた。「毎年、新たな発見しかないし、新たな感情が生まれる。1年に1度ながら、現実感を受け止めることに必死になる。復興に何ができるか答えは出ないけど、僕自身が忘れないことが大事」と活動を続ける意義をあらためて語った。

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