サンウルブズ参戦のラグビー布巻「あのレベルまでいかないと」

西日本スポーツ 大窪 正一

 スーパーラグビーに参戦する日本チームのサンウルブズに、トップリーグ(TL)のパナソニックに所属する東福岡高出身のフランカー布巻峻介(27)が新たに加わることになった。サンウルブズは来年2月1日に初戦を迎え、レギュラーシーズン最終戦は5月29日。来年1月12日開幕のTL(5月9日まで)と開催時期が重なるため、パナソニックとの両立は難しく、サンウルブズでのプレーを選択。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では日本代表候補として最終選考まで残りながらメンバー入りを逃しており、4年後のW杯を見据えての決断だった。12月初旬のパナソニックの宮崎合宿中に行ったインタビューでも、W杯への思い、海外でのプレーの可能性を含めた今後のラグビー人生について語っていた。(取材・構成=大窪正一)

 -W杯で日本が8強入りを決めたスコットランド戦のテレビ解説で会場入りし、試合後にグラウンドに行って歓喜の輪に加わり、涙を見せた。

 「うれしかったの一言。なんで(解説席からグラウンドに)降りられたのですかと聞かれるが、正直、感情のままに動いた。自分は出られなかったが、自分もあの勝利を目指して、きつい合宿を乗り越えた。いろんな感情が重なった。仲間とグラウンドで会えたのもうれしかった。大会中は近いようで遠かったので。仲間意識、家族意識はある。僕じゃなくてもああなっていたと思う。自分が出てなかったら勝ってほしくないという感情も芽生えるのかなと思ったが、あそこまでやってくれたらそんな気持ちはなかった。たとえ負けていたとしてもお疲れさまといえるすごい試合だった」

 -最終選考まで残りながら逃した日本代表だった。「バックアップメンバーとして、大会期間中はいつ呼ばれてもいいように準備していた。もちろん、今も悔しさは残っている。でも、日本代表があれだけの仕事をしてくれて、試合には出ていないが、誇らしい気持ちになった。自分がやらないといけないことが明確になった。悔しさはあるが、前に進めないような心境ではなく、ポジティブにできている」

 -明確になった課題とは?

 「たくさんのこと。一つは、自分の弱いところをしっかり克服しないといけない。体の強さであったり、試合中の判断能力だったり。外からW杯を見て、足りないと思ったのでレベルアップしないといけない」

 -W杯の思いは変化したか?

 「改めて、すごい舞台だった。外から見ても分かった。(日本代表で)試合に出るメンバーはあのメンバーだったなと思う。そういう意味では、ちゃんと自分の中で負けを認めている。心から認めているメンバーが出て、あのような結果を出してくれて。選ばれるメンバーはあのメンバーだった。(W杯に出るためには)あのレベルまでいかないといけないと感じさせられた」

 -W杯の前哨戦だったパシフィック・ネーションズ杯(PNC)ではウオーターボーイ(給水係)を務めた。

 「あれが自分から申し出たのではなく、スタッフ陣から選手にウオーターボーイを使ってみようかとなった。自分でいうのもなんだが、僕がやって、選手の反応がよかったので、W杯でも採用された。(選手の給水係は)PNC前はなかった。選手をウオーターボーイに使うということは、選手だからできるコミュニケーションをとってくれということ。選手が使う言葉、選手が分かりやすい言葉で伝えるのが重要。言われたことだけを伝えるのではなくて。そこを意識した。チームにいる以上は、チームが勝てばいい。もちろん、プロ選手なので、プレーで結果を出すのが大前提だが」

 -選手としての成長のため、海外への挑戦は?

 「考えています。行くならばスーパーラグビー。ヨーロッパはイメージがつかない」

 -プレーとともに、ラグビー教室など子供たちの普及にも力を入れている。

 「本当にそこへの気持ちは強くて、僕の中で大事にしているところ。昔からそういう気持ちはあって。僕はラグビーに助けられたというか、成長させてもらったスポーツ。東福岡高校、早稲田大学のころから感じていて。ラグビーやっててよかったなと。やっていなかったら、駄目な人生を歩んだろうなと(笑)。ラグビーの偉大さを感じていた。ラグビーでなくても、スポーツを通じて何かを感じてもらうことを子どもたちに経験してほしい。福岡のラグビースクールは体験希望者も多く、こんなにうれしいことはない。みんながラグビーをできるシステムができればいい」

 パナソニック前主将の布巻は福岡市のかしいヤングラガーズ出身。超高校級と注目された東福岡高時代にCTBとして全国制覇に貢献し、早大3年からフランカーに転向した。日本代表には2016年11月のジョージア戦で初出場するなど7キャップ。同じ福岡出身で同学年のSH流大やWTB福岡堅樹らは「小学生時代から別格の存在だった」と口をそろえる黄金世代の中のスターだった。記者自身も、布巻が東福岡高1年時の全国大会を取材。次々と敵を吹っ飛ばしてトライを挙げたシーンが脳裏に焼き付いている。日本代表にも屈強な外国出身選手がそろうフランカー。スーパーラグビーで彼らにどう対抗していくか注目したい。布巻は2017~18年シーズン以来のサンウルブズの参加について、チームを通じて以下のコメントを発表している。

 「今シーズン、サンウルブズでスーパーラグビーに挑戦することになりました。今回、トップリーグと時期が重なったにもかかわらず、送り出してくれるパナソニックワイルドナイツには本当に感謝しかありません。今回の挑戦は自分の中でも難しい決断になりましたが、今の自分にはスーパーラグビーへの挑戦での成長が必要と考え、このような決断に至りました。また、今回の挑戦によりスーパーラグビーのレベルの高さ、サンウルブズの価値をすべての選手、ファンの方々にも知ってほしいと思います。今後のラグビー界をトップリーグと共に盛り上げていけるよう、努力していきます。パナソニックワイルドナイツを少しの間離れますが、必ず成長して帰ってきて、また離れている間も一番応援している一人として関わっていきたいと思います」

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