ソフトバンク工藤監督が千賀に注文「あいつにはクリアしてほしい」

西日本スポーツ 倉成 孝史

 ◆ソフトバンク日本一旅行(現地14日・米ハワイ州)

 【ホノルル(米ハワイ州)倉成孝史】福岡ソフトバンクの工藤公康監督(56)が14日(日本時間15日)、千賀滉大投手(26)に「200投球回」&「沢村賞」を指令した。今季4年連続の2桁勝利となる13勝を挙げた右腕を、エースと認めたからこその超ハイレベルな注文だ。球界全体に投手の分業制が進む中で、今季は両リーグトップの180回1/3を投じたが、指揮官はチームだけでなく「日本の大エース」となってほしい思いを込めた。

 常勝軍団を率いる日本での重圧から解き放たれ、常夏の島では優しいパパの表情に戻る。ハワイ日本一旅行3日目は、三女の阿偉さん(24)、次男の拓也さん(19)とオアフ島の「コオリナ・ゴルフクラブ」でエンジョイ。「選手もスタッフも、家族が喜ぶ顔を見るのはうれしいものだよ」。南国で強い日差しを浴びながら、次シーズンへ向けた英気を養うのは工藤監督も同じだ。

 ただ、リラックスして楽しみながらも、野球の話となれば、瞬時にその表情も口調も引き締まる。報道陣との会話の中で4年連続で2桁勝った千賀について話が及ぶと「今年で認めていいんじゃないかな。自覚もそう。ああいう姿を見せてくれたからね」。今季も先発の柱としてチームトップの13勝を挙げた右腕を、完全に「エース」として認めることを公言した。

 「森もそうだし、千賀もそう」。守護神や先発の柱としてのポジションに立ったことで、その投手がさらに大きく成長していることを指揮官は何よりも喜ぶ。かつては8回まで無失点で好投した千賀が続投を志願しても、勝利を優先し守護神へのリレーを選択したこともあった。だが「自分が投げたいと言えば、あいつは投げさせる」と、もう全幅の信頼を置いていることを強調。だからこそ、指揮官はエースにあえてさらなる高みを指令した。

 「あとは、あいつには200イニングをクリアしてほしい。沢村賞の基準もいろいろあるしね」

 球界全体で投手の分業制が進む中、今季はパでは規定投球回(143回)に届いた投手がわずか6人だった。「勝率6割、200投球回、150奪三振」などの7項目の選考基準がある沢村賞も19年ぶりに「該当者なし」だった。

 かつて選考委員の一人を任されたこともある指揮官は「その年に一番頑張った投手がもらえていいと思う」と、個人的には分業制の状況も踏まえた選考をすべきだとの考えも持っている。ただ、自軍のエースが誰をも納得させる形で名誉をつかんでほしいという思いも強く持ち、千賀ならそれができるとも確信している。工藤監督の熱い思いに、タカのエースが応えてくれるはずだ。

 ◆減少傾向の「投球回200以上で沢村賞」 先発完投型の投手を対象とした沢村栄治賞は1947年に制定。82年から選考委員会で受賞者を決める方式となり7項目の基準が設けられた。(1)登板25以上(2)完投10以上(3)勝利数15以上(4)勝率6割以上(5)投球回200以上(6)奪三振150以上(7)防御率2.50以下ーとレベルが高く、同年以降(88年までセ・リーグのみ、89年からパも対象)の受賞者延べ36人のうち全項目をクリアしたのは9人しかいない。分業制が進み最近は(2)や(5)が難しくなったため、2018年から独自のクオリティースタート(QS)達成率(7回以上を投げて自責点3以下の試合の割合)を補足基準に追加した。賞の創設期に当たり前だった投球回200以上の受賞投手は減少傾向で、90年代と00年代は延べ10人中7人、10年代は9人中5人となっている。

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