ソフトバンク和田「忘れられない」引退覚悟した先に待っていたもの

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ソフトバンク2019プレーバック 和田毅投手の「分岐点」

 舞台が大きくなればなるほどベテランは力を発揮した。交流戦優勝が懸かった6月23日の巨人戦(東京ドーム)で自身651日ぶりの白星。頂点に王手をかけて先発した10月23日の日本シリーズ第4戦では5回無失点でシリーズ16年ぶりの白星を挙げた。長く苦しんできた故障からの復活を強く印象づけた今年、左腕が「分岐点」に選んだのは6月5日の中日戦(ヤフオクドーム)だ。

 「自分のプロ人生で忘れられない試合になった。ヤフオクドームのマウンドへ上がるためにつらいリハビリを続けてきたんだと、改めて実感した一日だった」

 苦難を乗り越え、たどり着いたマウンドだった。2018年の春季キャンプで覚えた左肩違和感。同年は日本では初の登板ゼロに終わり引退の2文字が頭をよぎったこともあった。不退転の決意で臨んだ今年は慎重に調整。ファームで実戦登板を重ね、581日ぶりの復帰戦で本拠地のマウンドに上がった。試合前のスタンドにあふれたのは「おかえり」の声。それがプロ17年目の力になった。

 「ファンの応援が背中を押してくれた。全力で飛ばしていった」

 最速144キロ。2、4回にそれぞれ1失点も、同点の5回1死一、三塁では4番高橋、5番ビシエドをともに内角直球で強気に攻めて打ち取った。試合途中からプレートを踏む位置を一塁側から三塁側に変えるなど、ベテランらしさも随所で披露。5回78球、2失点で自身に白星はつかなかったものの、チームに勝利をもたらす好投だった。

 2シーズンぶりの白星は今季3度目の先発となった前述の巨人戦。その後は間隔を空けながらローテーションで回り、12試合で57回2/3を投げ4勝4敗、防御率3・90の数字を残した。ポストシーズンは日本シリーズも含め2試合に先発。チームが日本一になった試合が今年最後の登板だった。

 「今年の始めには日本シリーズで投げられるとは思っていなかった」。そう素直に喜びながらも、満足することはない。「まだ復活とは言えないかな。一年間先発ローテを守って、それなりの数字を残してこそ復活になると思う」。来年2月で39歳。チーム最年長の視線は既に先へと向かっている。(長浜幸治)

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