ソフトバンク柳田が泣いた理由 明るく振る舞う裏で落ち込んでいた

西日本スポーツ

 ◆ソフトバンク2019プレーバック 柳田悠岐外野手の「分岐点」

 試合後、ヤフオクドームから家路に就く際の足取りはしっかりしていた。「すぐプレーできるはず」。そう思った。だが、本拠地で試合に臨んだのは4カ月以上も後。柳田の分岐点は開幕間もない4月7日、本拠地ヤフオクドームでのロッテ戦だった。

 7回1死。二走の柳田は三盗を狙い果敢にスタートした。同時に左脚の裏側に痛みが走った。「おかしいな」。左脚を守るため三塁には頭から滑り込んだ。派手なプレーにスタンドは沸いたが表情はゆがむ。ベンチから出たトレーナーが状態を確認し両手で「×」のサイン。柳田はそのまま途中交代した。

 当初の診断は左膝裏の肉離れで3週間。リハビリ組に合流したものの痛みが引かない。詳しい症状はセカンドオピニオンで判明した。軽傷の見立てと裏腹に、膝関節や股関節の曲げ伸ばしに影響する内側ハムストリングス(太もも裏)周辺に重度の損傷があった。「連続(打率)3割が終わった。途切れたわー」。長期離脱を悟り周囲には努めて明るく振る舞ったが、内心は落ち込んでいた。

 練習の強度を上げれば痛みがぶりかえす。その繰り返しだった。前進しないリハビリ。焦りと不安が入り交じる。いらだち、途中で切り上げたこともある。今季中の復帰は厳しいとも感じた。「この先野球ができるのか。治るかどうか分からない部分で、不安な気持ちがいっぱいだった」

 実戦復帰は8月8日の2軍戦。思わず泣いた。多趣味な男ではあるが、野球を奪われた時間はとてつもなく苦しかった。同21日、ヤフオクドームでのオリックス戦。ファンの大歓声に包まれて戻ってきた。あの負傷から実に136日ぶりの1軍復帰だった。

 「本当に人生っていろいろあるなって思った」

 シーズン後に右肘の手術を受けたため、今は再びリハビリ中。経過は良好で来春のキャンプには問題なく参加できる予定だ。左膝裏の不安もなく精力的な走り込みを続ける。先の見えなかった半年前とは違い、その表情は明るい。リハビリの合間、オフのイベントに参加してよく口にする言葉がある。「結局、野球が一番楽しい」。苦しい時間を乗り越え、愛する野球に対する思いは一層強くなったようだ。(山田孝人)

PR

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング

PR

注目のテーマ