ソフトバンク今宮が振り返る劇的代打弾「実はあの時勘違いしていて」

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ソフトバンク2019プレーバック 今宮健太内野手の「分岐点」

 レギュラーシーズンで自己最多に並ぶ14本塁打を放ち、先制、同点など肩書付きが半数の7本。クライマックスシリーズではファイナルステージ第4戦でシリーズ新の1試合3本塁打を記録した。ここぞの一発が目立った今年の今宮にとって分岐点といえる1本は8月8日のロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)で飛び出した。

 敵地でのロッテ戦はこの試合前時点で1勝7敗。このカードも初戦から2連敗を喫し、迎えた3連戦の最終戦だった。2点を追う7回1死一、二塁、釜元の代打で打席に立った今宮は左腕チェンの初球、内角低めのカットボールを強振。打球はホークスファンの待つ左翼席に飛び込んだ。プロ初の代打本塁打が決勝の逆転3ラン。「打席に入ってから10秒くらいの出来事。自分でも何が起こったか全く分からなかった」

 打った本人が驚いたのには理由があった。「今だから言えるんですけど…」と前置きした上で明かす。「実はあの時、チームが守っていると勘違いしていて、バッティングルームでゆっくりストレッチしていた。そしたら打撃コーチから『健太、次やぞ』と言われて」。試合終盤の代打起用を事前に伝えられていたとはいえ、まだバットも振っていない状態だった。

 2度、3度とスイングした後、急いで打席へ。マウンドにはチェンが立っていた。「あっ、チェンなんだと。その時初めて対戦投手を知った」。焦りが生まれそうな場面でも、気持ちをしっかり切り替えた。「初球をいったれと。思い切りフルスイングしたらホームラン。そんなことあるかなって感じ」と苦笑交じりに振り返る。

 準備もせずに打席に入ったのはプロ入り後初めてだった。「本当はあってはならないことだけど」と反省しつつ、新たな感覚もつかんだ。「緊張する暇もなかったのが、かえってよかったのかな。脱力したことがいい結果になった」

 今宮にとってはもう一つ、大きな意味があった。この3連戦は初戦で左太もも裏に張りを覚え途中交代。2戦目を欠場していた。「脚の状態もよくなかったし、なんとかできるっていうところを見せたかった」。自身7試合ぶりの一発は存在感を証明する一振りでもあった。(長浜幸治)

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