ソフトバンク千賀「試合に入るのをやめた」ノーヒッターが示した真価

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆ソフトバンク2019プレーバック 千賀滉大投手の「分岐点」

 球団76年ぶりのノーヒットノーランが千賀の2019年のハイライトなのは間違いない。ただ、偉業を成し遂げた「次」がエースの真骨頂でもあった。西武に敗れ79日ぶりに首位陥落した翌日の9月12日、中5日で連覇を目指す王者とのシーズン最終戦に臨んだ。

 「ノーヒットノーランの次がだめなら意味がない」。勝った方に優勝マジックが点灯する一戦。気持ちが高ぶり力が入るのは当然の中で、思考を変えた。「ある意味、試合に入るのをやめた。(試合展開で)チャンスとかピンチとか、いろいろ考えると集中力の波ができやすくなってしまう」。努めて冷静に、目の前の打者を封じることに神経を注いだ。

 結果、3回1死の木村から4者連続三振を奪うなど4回までは走者を一人も許さない完全投球で試合を支配する。ただ、打線も相手先発の十亀の前に走者を出しながら得点できず。0-0のまま終盤を迎えた。

 7回、先頭源田に初の長打となる二塁打を浴びるなどで1死二、三塁。「先制されてはいけない場面。前に飛ばせないことが一番だと思った」。余分な意識を排除しようとしても、勝負どころと察知すると本能的に力が入る。

 打席の栗山には自己ワーストの1イニング9失点を喫した8月17日の対戦で3ランを浴びていた。徹底して内角を突く。146キロのカットボールで追い込み、フォークを4球続けた。フルカウントからの勝負球は大きな落差で内角低めに決まり、空振り三振に仕留めた。

 外崎への2球目は157キロ、3球目は158キロとアクセル全開。剛球にバットを当ててくるくせ者にも最後は136キロのフォークを外角低めへ落とした。バットは止まらず、狙い通りの連続三振。12球団最多の227三振を奪った右腕にとって鮮明に記憶する分岐点の2三振になった。

 直後の8回、先頭グラシアルが平井の代わりはなを捉えて先制ソロを放つなどして2点。千賀は1点を失うも1点差の接戦を制しマジック12を点灯させた。それでも結局、優勝は西武。3年連続日本一になった後もことあるごとに口にする。「西武にやり返したい」。12球団最強の打線が、エースの負けず嫌いを刺激する。 (鎌田真一郎)

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