ソフトバンク中村晃が怒りで放った一打「試合に出てなんぼ」

西日本スポーツ 石田 泰隆

 ◆ソフトバンク2019プレーバック 中村晃外野手の「分岐点」

 12年目のプロ人生で最も記憶に残る打席となった。5月31日の楽天戦(ヤフオクドーム)。中村晃は昨オフから苦しんだ自律神経失調症を乗り越え、ようやくたどり着いた今季初打席を感慨深げに振り返った。

 「大声援の中で打席に入ることは今までもあったけど、あれほどファンの方の拍手が温かいと感じながら入った打席はない。感謝の思いでいっぱいです」

 球場全体から湧き起こった「お帰りコール」に同点の適時二塁打という最高の結果で応えた。「多少緊張はあったけど、割と普通に(プレーは)できた」。試合後、冷静沈着に振り返るあたりにクールな中村晃らしさがにじみ出たが、忘れられない打席となったことは間違いないようだ。

 しかし来季への「分岐点」という意味で中村晃が即答したのは、西武とのクライマックスシリーズファイナルステージでの1打席目だった。ファーストステージではシーズン3位の楽天に第1戦で敗れたものの第2、3戦で逆転勝ち。勢いそのままにチームは王者西武の待つ敵地へ乗り込んだものの、中村晃は大事な第1戦で出番がなかった。

 「ファーストステージで8タコ(8打数無安打)かな。結果が出ていなかったので試合に出られなかったのは仕方がない。自分の責任ですから。ただ、そこで結果を残せなかった自分に腹立たしさを覚えていた。その怒りをぶつけられたのが、あの打席でした」

 翌10日の第2戦。今季2打数1安打だった相手先発今井との相性を買われ5番右翼で先発出場すると、初回2死一、三塁の好機で右前に安打を運び先取点をもたらした。結果的にこの一打は決勝打となり、チームを連勝発進に導いた。中村晃はその後も2打席目に2ラン、第3戦でも先制の決勝打と怒りをパワーに変えて大暴れした。

 「野球選手は試合に出てなんぼ。やっぱり試合に出ないと楽しくないというのは正直なところです」

 今オフ、契約更改交渉の席上で「全試合出場」を来季の目標に掲げた。2013年からレギュラーを張り続けてきた男にしてみれば最低限の目標設定に映るが、その根底には大事な試合で先発落ちした悔しさがあった。 (石田泰隆)

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